(ア) |
誰にも相談しない生徒を減らすために
悩んで苦しんだことのある生徒のうち,誰にも相談しない割合は全体と比較すれば減少している項目が多い。これは,誰かには相談している生徒が多いことを表している。しかし,内面的な悩みでは増加している項目がある。悩んで苦しんでいるのに誰にも相談できない状況を「悩みがあれば相談できる相手がいる」という状況に改善するための教師側の努力が必要である。 |
(イ) |
予防的・開発的なはたらきかけの重要性
誰にも相談しない生徒が,悩みをかかえてから相談相手を見つけようとしても難しい。生徒が悩みをかかえていないときや悩みが小さいときこそ,いざというときの相談相手を見つける絶好の機会ととらえたい。そのためには,教師から積極的に予防的・開発的なはたらきかけをすることが重要である。具体的には,休み時間や清掃時の生徒への声かけ,ホームルームなどを利用しての構成的グループ・エンカウンターによる人間関係づくり,保護者との面談や連絡を密にすることなどが考えられる。 |
(ウ) |
教師以外の援助資源の活用
教師は「悩みがあったら相談してほしい」と考えているが,内容によっては相談しにくいこともある。「いかに教師に相談してくれるか」と考えて努力することは大切だが,相談相手を教師に限定せず,友人や家族などの援助資源をもっと有効に活用するなどの連携活動の在り方を考えるべきであろう。 |
(エ) |
学級担任が一人で抱え込まないために
学級担任が多種多様な生徒の悩みにすべて対処しようとして,一人で抱え込んでどうにもならなくなってしまうことがある。それには,複数の教師や家族などによる援助チームを組んで,友人などの援助資源を生かした対応が有効である。そのためには,教師相互でも気軽に相談できる校内体制をつくるためのコーディネーターが必要であり,定期的に援助会議のようなものを招集し,情報交換をしたり,日常的な教育活動の振り返りなどを通して,教師の力量や生徒とのかかわり方の質的向上を図ることが重要である。 |
(オ) |
援助が必要な生徒の早期発見のために
悩んで苦しんでいるのに誰にも相談できない生徒が数多くいることから,早期発見するためのSOSチェックリストを作成して,各教師が実際の学級経営や学習・進路指導および生徒指導に活用していくことが重要である。 |