D  調査研究のまとめ
 結果と考察
 小学校・中学校・高等学校別に,「悩んだ経験」「悩んだときの苦しさ」「相談相手」について,特徴的な項目を取り出し分析を行った。ここでは,校種を越えて, 「悩んだ経験」「悩んだときの苦しさ」「相談相手」について考察する。このことにより,問題や発達段階に応じた,適切な援助チームの組み方やSOSチェックリスト追加項目を明確にすることを目的とする。
(ア)  児童生徒の悩みと相談相手(資料3
 学習面について
 「授業の内容が分からない」経験をした児童生徒は9割を越え,「勉強の仕方が分からない」経験をした児童生徒は,学年が進むにつれて増加している。「成績が伸びない」経験をし「苦しい」思いをした生徒が多くいる。「部活動の両立」では,中学校で多くの生徒が部活動に加入しているため,「苦しい経験」をした割合も高等学校に比べて高い。また,校種が進むにつれ,学習に対する「苦しさ」が見られる。入試や就職等との関連も考慮する必要がある。さらに,「誰にも相談しない」が高い質問項目もあり,児童生徒への支援の必要性を感じる。
 心理・社会面について
 「自分の性格や体格」や「友人関係」,「対教師不満」での経験や悩んだときの苦しさは,各校種共に高い。中学校では「部活動」,高等学校では「異性関係」での経験や悩みの深さが高い。「自分の家庭のことで心配や悩みがあるとき」では,「誰にも相談しない」の割合が高い。これらに対し発達段階を十分に考慮した取り組みが必要と考える。特に,思春期や自我の確立等内面に関するところにも配慮が必要である。
 進路面について
 「悩んだ経験」をした生徒が,校種が進むにつれ増えている。また,「経験したときの苦しさ」の割合も高くなっている。これは,校種が進むにつれ,進路に関してより現実的になるためだと考えられる。それぞれの状況や考え,希望等を十分に考慮し,支援しなければならない。
 健康面について
 「悩んだ苦しさ」において,「腹痛,頭痛」「体のだるさ」で高い値を示している。相談相手では,校種が進むにつれ「教師」と答える割合が減少している。
 その他について
 各校種で半数が,「学校に行きたくない」経験をしている。また,「悩みの深さ」も「学級にいづらい」項目も含め,半数が苦しんでいる。特に,高等学校では,「学級にいづらい」の経験が大きく,新しい集団に対する適応等を考慮しなければならない。
(イ)  悩んで苦しんだことのある児童生徒の悩みと相談相手(資料4,,10
 学習面について
 相談相手では,小学校で「親・兄弟姉妹」,高等学校で「友人」の割合が高い。これは,誰かに相談をし,解決を望んでいる現れで,援助の必要性が読みとれる。また,「相談しない」の割合も質問項目によっては,高い値を示しており,積極的な援助が必要である。
 心理・社会面について
 相談相手では,学年が上がるにつれ,家族から友人に相談する割合が高くなっている。「自分の性格や容姿」「自分の家庭で心配なこと」の質問項目では,どの校種においても「相談しない」が多くなっている。
 進路面について
 自分の進路についての相談相手として,中学校や高等学校において,「教師」に相談する割合が高くなっている。「その他」に相談する割合が,中学校・高等学校で高くなっている。これは,「塾」等で相談する相手がいるものと見られる。幅広い情報収集が必要であると考える。
 健康面について
 学年が進むにつれ,相談する相手の割合が減ってきている。今までの生活経験から,どのように対処すればよいかが分かってきているからだと考えられる。逆に,それでも相談できない中学校・高等学校の生徒に対するケアが大切になってくると考える。
 その他について
 二つの質問事項共に,相談相手として「教師」と選んだ児童生徒が,学年が上がるにつれて減少している。「誰にも相談しない」の割合は,どの校種共に30%を越えている。児童生徒に対する日頃の観察,積極的な言葉かけ等が必要であると考える。
 まとめ
 以上のような実態から次のような取り組みを検討していく必要がある。
(ア)  児童生徒を取り巻く状況を考慮した,援助チームの必要性
(イ)  児童生徒の悩みを見つけ,児童の実態と教師の認識のズレを補うチェックシートの活用
(ウ)  悩んでいる児童生徒が,安心して相談できる積極的な人間関係作り
(エ)  組織的な取り組みができるような学校のシステム化


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