10 今後の課題

 授業における校内LANの効果的な利用については,インターネットとの連携やWebサーバの構築によるWeb教材や電子掲示板・データベースの利用など様々な可能性を秘めていることを確認することができた。このように校内LANが学校における重要なインフラであると考えるならば,それを使う人が使い道やルールをよく理解し,そこを流れる情報を蓄積・整理していかなければならない。したがって,これから校内LANをより効果的に活用し,それを広めていくためには,以下の点についてさらに研究していくことが必要であると考える。
 校内LANの利用方法の開発と普及
 まず,より多くの教師が校内LANの利便性を感じることができるように,本研究で行われた教材の収集や開発をさらに進め,より充実させていくことが必要である。そこでインターネット上に公開されている豊富なサイトやソフト,プログラム等を,授業の目標や学習内容にあわせて吟味しながらリンク集等にまとめたりWebサーバ上で利用できるようにしていきたい。また,引き続きWeb教材を開発・改善していくことや,児童生徒の作った作品等をさらに蓄積していくことによって,より多くの教師・児童生徒が効果的に校内LANを利用できる機会を増やすようにしていきたい。
 環境とカリキュラムの整備
 次に,教師・児童生徒が場所や時間にかかわらず校内LANに接続された情報機器を気軽に触れることができるようにすることである。そのためには機器の整備や設置場所の工夫,運用の工夫等が必要である。また,児童生徒が情報機器を身近なものとして扱えるようにコンピュータ・リテラシー向上のための発達段階に応じた系統的・計画的なカリキュラム作りも必要である。
 情報モラル・セキュリティに対する意識の高揚
 そして,情報モラルやセキュリティに対する意識を高めていくことが必要である。たった一人の不注意やモラルの欠如によって情報漏洩やウィルス感染,著作権侵害などの問題が起こりうるのである。そこでネットワークの管理・運用体制を確立し,校内研修等で教師相互にセキュリティ意識を高めるなど,校内LANが安全に利用できる環境を整えていきたい。さらに,児童生徒への情報モラル教育を確実に行い,ネットワークの向こうには人がいることを常に意識して校内LANを利用することができるようにしていきたい。

参考文献
「教育工学事典」 日本教育工学会編 実教出版
「実践スクールネットワーキング」 荒川信行,石出勉,横枕雄一郎著 オーム社
「実践に学ぶ情報教育」 赤堀侃司著 ジャストシステム社
文部科学省 情報教育の実践と学校の情報化 −新「情報教育に関する手引」−
(平成14年6月)
文部科学省 ITで築く確かな学力 〜その実現と定着のための視点と方策〜
初等中等教育におけるITの活用の推進に関する検討会議 報告書
(平成14年8月)
文部科学省 校内ネットワーク活用ガイド
  上記3つの参考文献は下記の文部科学省のWebページの「情報化への対応」
  (http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/index.htm )から閲覧できる。
社団法人日本教育工学振興会「ITを用いて指導できる」基準作成のための調査研究報告書
( http://www.japet.jp/skillchk/ )
参考URL
教育情報ナショナルセンター(NICER)"IT授業"実践ナビ (http://www.nicer.go.jp)
アライドテレシス社ネットワーク講座
(http://www.allied-telesis.co.jp/library/nw_guide/index.html)


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