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研究のまとめ |
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本研究では音楽科の学習指導に関する実態を踏まえ,児童生徒が個性的,創造的な学習活動をより活発に行うことができるための手だてを講じ,2年間にわたり授業研究を行った。その結果,研究主題に迫るためには,以下の手だてが有効であることが分かった。 |
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(1) |
個性的な学習活動をより活発に行うことができるようにするための手だて |
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ア |
小学校の創作分野において「ボディパーカッション」や「ボイス・アンサンブル」,を活用したことは,各グループや児童一人一人にテーマを設定させ具体的なイメージをもたせることにより,児童が楽しみながらよさや可能性を発揮することにつながった。 |
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イ |
中学校において,教師が身近で難易度に差がある教材を準備し,生徒自身に教材を選曲させたことは,生徒一人一人が意欲をもってよさや可能性を発揮することにつながった。 |
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(2) |
創造的な学習活動をより活発に行うことができるようにするための手だて |
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@ |
複数の学習の展開や習熟度に応じた指導法の工夫について |
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ア |
小学校において,各グループごとにテーマを設定させたことにより,児童は具体的なイメージを膨らませながら,様々な音や言葉によるリズム・アンサンブル活動をより創造的に行うことができた。 |
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イ |
中学校において,教師が難易度に差がある身近な教材を準備し,習熟度を考慮した複数の学習の展開を工夫したことにより,全員が運指やアーティキュレーション等の基礎的な奏法を身に付けながら,様々な表現の工夫をより活発に行うことができた。さらに,生徒が気に入った教材や挑戦したい教材を選曲できる習熟度に応じた複数の学習展開を行ったことで,リコーダーに苦手意識をもつ生徒も無理なく活動に取り組むことができることが分かった。 |
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A |
学習の流れの工夫について |
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小学校・中学校ともに,教師が学習形態の組み合わせを工夫し,児童生徒に個人,ペア,グループ全体などの組み合わせを考えさせたことにより,児童は楽しみながら意欲をもって,生徒は主体的により創造的な活動を行うことができた。 |
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B |
評価の工夫について |
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ア |
小学校において,児童が見通しをもって主体的に活動できるように配慮した学習カードや表現の工夫をさせるためのチェックカードに,学習の振り返りや自己評価ができる欄を設けたことにより,個々の取り組みを教師がチェックしながら支援することができた。 |
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イ |
中学校において,生徒がより主体的に活動できるよう工夫した「活動チェック表」やパートリーダー用の「ステップカード」を活用した。その際,題材のねらいに即した評価の観点を明確にしたそれらの学習カードを活用したことは,授業終了後の評価資料として役立つことが分かった。 |
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児童生徒が個性的,創造的な学習活動をより活発に行うことができるようにするためには,題材の設定の工夫と教材の精選,複数の学習の展開や習熟度に応じた指導法の工夫,様々な学習形態を効果的に組み合わせる工夫などが有効であることが分かった。今後は,その後の学習や生活に応用・転移できる力を身に付けさせる指導の改善・充実について究明していきたい。 |