研究主題 児童生徒が個性的,創造的な学習活動をより活発に行うことができる音楽科学習の指導の在り方


 音楽科の研究のねらい
   児童生徒及び教師を対象にした音楽科学習に関する実態調査を踏まえ,小学校,中学校における個に応じた学習指導の工夫改善を手だてとした授業実践を通して,児童生徒が個性的,創造的な学習活動をより活発に行うことができる音楽科学習の指導の在り方を究明する。
 
 研究主題に関する基本的な考え方
  (1)  音楽科における個性的な学習活動
     音楽科における個に応じた学習活動を充実させることについて,金本正武氏(千葉大学教授)注1)は,「子供たち一人一人が楽しくかつ進んで音や音楽にかかわり,自らの感じ方や考え方など,よさや可能性を積極的に発揮しながら,主体的で創造的な学習活動を生き生きと展開していくことができるようにすることである。」と述べている。
 そこで,音楽科における個性的な学習活動とは,「児童生徒一人一人が,個性や興味・関心を生かしながら楽しく主体的に取り組み,音楽に対する感じ方や考え方,音楽経験や興味・関心の傾向,表現や行動などのよさや可能性を生かし発揮しながら,自らのイメージをさらに膨らませ表現の工夫を加えていく学習活動」ととらえた。
  (2)  音楽科における創造的な学習活動
     児童生徒の創造性について,渋谷憲一氏注2)は,「新しい状況に出会ったとき,これまでに身に付けた知識や経験を十分に活用して,新しい解決をしようとする態度であり,能力である。」と述べている。
 そこで,音楽科における創造的な学習活動とは,「児童生徒一人一人が,これまで身に付けた基礎・基本をもとに,自分のよさや可能性を発揮しながら新たな基礎的・基本的な内容を身に付け,自分にとって新しい価値あるものをつくり出すことができるような学習活動」ととらえた。
  (3)  音楽科における個に応じた学習指導の工夫改善
     音楽科における個に応じた学習指導の充実を図ることについて,前出の金本正武氏は,「子供一人一人が進んで音や音楽に働きかけ,自らのよさや可能性を積極的に発揮して主体的で創造的な学習活動を展開していけるよう,教師が子供の側に立って指導と評価の工夫を図ることである。」と述べている。
 このような学習指導を実現するためには,次の4点に配慮する必要があると考えた。
 第一は,題材のねらいや学習内容を明確にすること。
 第二は,児童生徒が様々なよさや可能性を発揮することができるような題材の設定や教材の精選を行うこと。
 第三は,複数の学習の展開や習熟度に応じた指導と評価の工夫を行うこと。
 第四は,様々な学習形態を効果的に組み合わせ,学習の流れを工夫していくこと。
 これらの点に配慮することにより,児童生徒が個性的,創造的な学習活動をより活発に行うことができるようになることが重要であると考えた。
     
注1) 金本正武(前文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官) 「初等教育資料(No.732)」 東洋館出版社,2001年
注2) 渋谷憲一(上越教育大学名誉教授) 「子どもを伸ばす評価」 ぎょうせい,1987年


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