実践例3
モデル1を基にした校内支援体制
組織を統合した新しい支援体制


T 校内支援体制ができるまで
   平成13年度の実践(校内支援委員会が立ち上がる前)
    (1)  特殊教育担当者としてのかかわり(低学年への支援)
      @  ○学年の実態と特別な配慮を必要とする子ども
・A児知的障害・多動傾向
・B児学力不振・情緒的問題
・C児高機能自閉症
・D児構音障害・学力不振・幼児性の問題
・E児構音障害・集団行動の問題
 40名の学級が2学級というスタートでした。そこには特別な配慮を必要とする子どもがたくさんいました。5名の他にも母子分離不安の子や情緒不安の子,乱暴で友達とうまくかかわれない子など配慮が必要な子どもがいました。学級担任の支援だけでは不十分な状態でした。
      A  支援の内容
 特殊教育担当者として,A児への通級による個別指導を中心として支援しました。2学級に渡ってTTや填補,給食指導と全体への支援も実施しました。校内支援委員会が発足する前でしたので,個人的に連絡調整をしなければならなかったので問題点もありました。特にC児が高機能自閉症と病院で診断されるまでにはいろいろな見方があり,そのかかわりも様々でした。支援が統一された後は,C児の不安感も弱まりました。
 しかし,一人でできる支援には限界があり校内全体からも見えにくいという欠点がありました。それぞれがそれぞれの立場で支援してきたこれまでの支援のあり方を見直し,支援を統一していく全校的な組織づくりの必要性が出てきました。
        支援図
       
   平成14年度の実践(校内支援委員会での実践)
    (1)  TTでのかかわり(低学年への支援)
       学年の実態と特別な配慮を必要とする子ども
 昨年度特別な配慮を必要としていた5名の内4名は,通級による個別指導を受けて順調に伸びています。そんな中でB児は,保護者が通級指導を希望しなかったため学級担任が授業や休み時間に個別指導しています。
 14年度は,校内支援委員会が立ち上がりましたので,そこで相談し連携を図れるようになりました。B児には,担任外が1名TTとして学級に入り国語と算数の時間に数時間ずつ個別支援しています。
U 組織の構成員
 
校内支援委員会 校長,教頭,教務主任
生徒指導主事,特殊教育主任,養護教諭
支援チーム (校長,教頭,教務主任)
生徒指導主事,特殊教育部員,養護教員,担任外
V 組織の役割
 
校内支援委員会 配慮を要する子どもの実態把握及び支援方法の決定
支援についての連絡調整
支援チーム 具体的な支援計画の作成
対象児童へ支援の実施
W 支援体制の年間計画
 
X 学習につまずきがある子の支援体制
  どんな子ども
     表情が乏しく,集団の中では自分から話すことが少ない子どもです。
     一斉授業についていくことが難しく,個別指導が必要です。
     個別の知能検査や言語発達の検査では,ほぼ年齢相応の結果がでました。自分の持っている能力を発揮していないようにも思われます。
     個別でかかわると,たくさん話すことができユーモアもあります。
  気づきのポイントは
     授業中は,自分から学習に取り組むことが少なく,授業に集中することができません。個別でかかわると作業にも取り組み始めます。
     前年度に,担任が個別指導の必要性を感じ通級指導をすすめましたが,家庭で学習の補充をすることになりました。
  こんな支援体制で
    (1)  支援の経過
@  支援委員会ができて,多くの先生方からの意見を聞くことができ,幅広い子どもの見方ができるようになりました。
                     ↓
     
A  特別な配慮を要する子どもへの支援の幅が広がりました。
                     ↓
     
B  情緒面の指導については,情緒担当者からアドバイスをもらい,学級担任とTT担当で方針を立てました。
                     ↓
     
C  学力をつけるとともに自分らしさを肯定させ自信をつけさせようと,学力向上と情緒面の2つの目標をつくり指導にあたりました。
    (2)  支援の実際
       担任とTT担当で授業中の個別指導を実施しました。国語と算数の時間を中心に支援し担任の指示を聞き取ることと作業にすぐ取り組む習慣をつけています。
       学習内容が難しいときは,学習範囲を絞り,できたことを評価し褒めるようにしました。
       学習意欲をつけるためには心の面でも育てていく必要性を感じました。家庭との連携が重要だと考え,1学期末にお母さんと懇談しました。本人の良いところを知らせ不安感を取り除くとともに,学力については,焦らずにスモールステップで積み上げていくことにしました。
    (3)  支援の結果
       教師の問いかけに対しても自分の気持ちを表現することが多くなってきました。級友にも冗談を言って楽しそうに過ごしています。
       2学期になり,学級の仕事も自分からできるようになりました。
       授業中も以前よりは集中できるようになり,教師に促されなくても作業に取り組むときが増えてきました。
       作業が遅いため,プリント等は本人の実態に応じて取り組ませ,学習意欲を育てています。
Y まとめ
   支援体制づくりのポイント
     特殊教育を生徒指導と融合させるためには,生徒指導主事が中心になり校内全体で支援していこうとする姿勢が必要だと考えました。
     子どもの状態をみても,特殊教育と生徒指導に区別することが難しくお互いに情報交換しながら研修していく必要性を感じました。
     職員研修と校内支援体制の確立を目標に月1回程度の全体会を開催しました。職員の共通理解という意味でも有意義でした。
     支援の調整を図る意味でも,支援チームの作戦会議が有効でした。
   今後の課題
     多忙の中で,会議の回数と時間を効率よくしていく必要性があります。作戦会議である支援チームの相談は,随時必要に応じて打ち合わせることが多かったです。必要最小限の時間は必ず確保していこうとする姿勢が必要になります。
     個別支援の必要性は,それぞれの立場や考え方によって差があるので支援教育についての共通理解が必要になります。
     反社会的な行動については,切迫した必要感から支援に乗り出しやすい状況にあります。学力不振やLD傾向など本人が困難を感じている場合は,後回しになる傾向がありますが,これからは反社会的な問題と同じように目を向けていく必要性があります。
  参考資料
   「個人記録表」


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