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図画工作・美術科の研究のねらい |
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児童生徒及び教師を対象に,図画工作・美術科学習における個性を生かす学習指導に関する実態を調査し,その結果を踏まえ,小学校,中学校における授業研究を通して児童生徒の個性を生かす学習の指導の在り方を究明する。 |
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研究主題に関する基本的な考え方 |
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(1) |
個性を生かすとは |
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児童生徒は,一人一人の個性により得意不得意,興味・関心などの度合いが異なる。様々な学習経験をすることで豊かな資質・能力を身に付け,伸ばしていくことができる。したがって,学習させる内容を調和よく学習させ,そのことを通して個性や資質・基礎的能力等を豊かに育てること,さらに確実に身に付けた基礎・基本を基として,一人一人が自分のよさを生かして創造的に考え工夫したり自分の課題に必要な学びを選択したりして,自らの能力や経験を一層豊かに広げ伸長させていくことを個性を生かすととらえる。児童生徒が,自分に適した表現方法などを選び,多様で創造的な活動をし,個性を生かすためには,個に応じた指導が必要であると思われる。 |
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(2) |
個性を生かした多様で創造的な活動をしていく |
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小学校学習指導要領解説図画工作編(平成11年5月文部省)(以下,小学校解説と呼ぶ)2 図画工作科の改訂の趣旨,イ改善の具体的事項では,「児童が楽しく造形活動にかかわり,個性を生かして多様で創造的な活動をしていくために,その基礎となる感覚・感性や想像力,技能などの資質や能力を育てることを重視する。」と述べられている。また,3 改善の要点,(2)内容の改善の要点,ア内容の関連と2学年を見通した弾力的な指導では,「児童が,自分に適した表現方法などを選ぶことができるようにする観点から,絵や立体に表すこととつくりたいものをつくることを一層関連付けたり一体的に扱えるように内容をまとめて示し,題材の精選を図るようにする」とも述べられている。中学校学習指導要領(平成10年12月)解説―美術編―(平成11年9月文部省)(以下,中学校解説と呼ぶ)では,2 中学校美術科の改訂の趣旨,イ改善の具体的事項で「生徒がゆとりをもって楽しく美術の活動にかかわりその喜びを味わい,個性を生かした多様で創造的な活動をしていくために,その基礎となる感覚・感性や想像力,技能などの資質・能力を一層育てることを重視する」また,(ア)「柔軟な発想力や形・色・材料で表す技能などの基礎的能力を総合的に身に付けられるようにするため,絵画と彫刻,デザインと工芸をそれぞれまとめて示す。また,第1学年においては,それぞれ関連付けたり一体的に扱ったりできるようにし,第2学年及び第3学年においては,それぞれのうちから表現分野や表現方法などを選択したり一体的な表現をしたりすることができるようにする」とも述べられている。
そこで,本研究では,小学校,中学校ともに,基礎となる感覚・感性や想像力,技能などの資質や能力を育て,一層豊かに広げ伸長させていくことを重視するとともに,小学校では,自分に適した表現方法などを選ぶことができるような題材,中学校では,柔軟な発想力や形・色・材料で表す技能などの基礎的な能力を総合的に身に付けられるような題材の精選,開発をする。次に題材の適切な提示,児童生徒一人一人に応じた指導と評価,場の設定を工夫すれば,個性を生かした多様で創造的な活動ができると考えた。 |
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(3) |
図画工作・美術科の基礎・基本 |
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文部科学省初等中等教育局教育課程教科調査官/国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官板良敷敏氏によれば,「新しい図画工作科の基礎・基本は,教科目標に示す『つくりだす喜びを味わうようにするとともに造形的な創造活動の基礎的な能力をそだてる』ことにまとめられていて,ひとまとまりの完結した知識や技術ととらえるより,資質や能力ととらえることである」と述べている。そして,「育成する資質や能力は,自分らしい発想やアイデア,よさや美しさの価値,思いと一体になった技能などを,自分が納得のいくようにつくり直し,つくりだす力である」とも述べている。
文部科学省初等中等教育局視学官遠藤友麗氏によれば,中学校で身に付ける表現の基礎・基本を,描く活動とつくる活動にかかわる基礎的能力とし,中学校解説では以下に示す八つに示されている。
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ものの見方・感じ方を深めること(観る力,感じ取る感性) |
A |
主題や発想を創出すること(発想力,イメージを浮かべる力) |
B |
考えやイメージをまとめ組み立てること(構想力,構成力) |
C |
形・色・材料で表す感覚や基礎的技能を身に付けること |
D |
創意工夫して,よりよく表すこと(まとめ上げの力) |
E |
全過程を通して自己確認すること(自己確認の態度) |
F |
作品を通してコミュニケーションや批判をし合い,互いのよさや個性などを理解し合うこと |
G |
自分の作品に愛着をもち,大切にすること(愛好心) |
また,鑑賞にかかわる基礎・基本を以下のように示されている。
(1) |
能力面からの基礎・基本として |
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作品の見方や感じ方 |
A |
よさや美しさ,作者の心情などを感じ取る力 |
(2) |
内容面からの基礎・基本として |
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美術作品などの表現の意図や方法の理解 |
A |
文化遺産や文化財などの特質の理解 |
B |
日本の美術の変遷と作品の特質 |
C |
美術と人間とのかかわりの理解 |
個性を生かした多様で創造的な活動をしていくには,学習させる内容を調和できるようにし,小学校,中学校において上記の基礎・基本を身に付けさせる必要があると考える。 |