4 研究のまとめと今後の課題
(1)
研究のまとめ
予防的な指導・援助(一次的,二次的援助サービス)とは,児童生徒の問題状況を初期の段階で発見し,その問題状況が大きくなることを予防することである。そのことについて,学校心理学の理論を基に研究を進めてきた。学校心理学の理論をまとめ,小・中・高等学校の教師や児童生徒にアンケート調査を行った。そして実際,校内でチームを立ち上げチーム援助を実践してきた。これらの研究を通して分かったことをまとめる。
@
援助チームによる指導・援助を行うことにより,児童生徒理解を踏まえた予防的な指導・援助が可能になる。
A
援助チームによる指導・援助を行うことにより,教師の予防的な指導・援助に関する資質や能力の向上につながる。
B
予防的な指導・援助には,心理教育的援助サービスとしてのアセスメントやコンサルテーションが有効である。
C
指導・援助する児童生徒の情報を収集したり,援助案を検討したりする際,援助チームシートや援助資源チェックシートの活用が有効である。
D
「悩み」に関する,児童生徒と教師の認識にズレがある。児童生徒の問題状況を初期の段階で発見するために,SOSチェックリストの活用が有効である。
E
援助チームによる指導・援助を実践する際,児童生徒の自助資源を生かす指導・援助が有効である。
(2)
次の点からさらに研究を深める。
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教師のチーム援助の有効性を高めるために,援助シート及び援助資源チェックシートの改善をする。
A
児童生徒への指導・援助の目安となる問題状況を測定するSOSチェックリストをさらに改善し,教師がより活用できるようにする。
B
学校心理学を基に,三次的援助サービスにおけるチーム援助の在り方を研究する。
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