研究主題 予防的な学校教育相談の在り方
1 主題設定の理由 学校生活の問題として, 不登校の児童生徒が増加傾向であることや, 学級がうまく機能しない状況が多くなっていることなどが挙げられている。児童生徒に対して様々な指導・援助がなされているにもかかわらず, 児童生徒の問題状況が改善されない理由はどこにあるのであろうか。児童生徒に学校や家庭での生活について話を聞くと, 元気に生活しているように見える児童生徒でも様々な悩みを抱えていることが少なくない。児童生徒は, 親や友達との関係がうまくいかないことや何となくやる気がしないことなどを訴える。これらの問題状況はどの児童生徒にも起こりうることである。そのため, 問題状況が起こる前に適切な指導・援助をすることによってそれらを予防することが大切である。
予防的な指導・援助とは, すべての児童生徒あるいは援助ニーズ( 問題解決や成長促進のため必要な援助ニーズ) の大きい一部の児童生徒の問題状況に対して行われる指導・援助のことであり, 児童生徒の問題状況が大きくなって健全な成長を妨げないようにすることである。そのためには, 「児童生徒の配慮を要する点はどこか」, そして「その児童生徒の問題状況はどうか。早急に特別の援助サービスは必要か」を正しく判断することが必要である。つまり, 日ごろから児童生徒の様子を観察したり, 児童生徒の話を聞いたりして児童生徒の学習面, 心理・社会面, 進路面, 健康面の状況や苦悩の理解を深めておくことが求められる。しかし, 教師にとって観察や話を聞くことから児童生徒の悩みを理解することは容易なことではないと考えられる。
そこで「学校心理学」に基づいて, 援助サービスの在り方を究明し, 校内において援助チームによる指導・援助を行うことを考えた。チームで児童生徒の問題状況を検討し, 援助方針や計画を立案して実践する。このような指導・援助を通して, 教師は児童生徒の悩みを理解し, 的確な児童生徒理解を踏まえた問題状況の予防的な指導・援助ができるようになるのではないかと考え本主題を設定した。
2 研究のねらい
(1)
児童生徒理解を踏まえた問題状況の予防的な対応の在り方について有効な手だてを究明する。
(2)
教師が児童生徒の問題状況を初期の段階で発見するための有効な手だてを究明する。
(3)
教師が児童生徒の情報を収集したり, 援助案を検討したりする際の, 有効な手だてを明らかにする。
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