6.研究の成果
理科では,2年間にわたり,理論研究や実態調査を踏まえ,「観察,実験を通し,科学的な思考力を育てる理科学習の指導の在り方」における指導方法の改善や教材・教具の開発等について授業研究を行った。四つの授業研究より次のような効果が明らかになった。
小学校では,自作簡易検流計の提示により興味・関心を喚起し,電流のはたらきを描き表すことで多様な問いを引き出すことができた。自由試行の場面を設定することにより,主体的な問題解決の活動が展開できた。映されたワークシートを見合いながら話し合うことにより,自らの考えを明確にすることができた。ワークシートを工夫したことにより,観察,実験の方法や結果を振り返ることができ,科学的な思考力を育てることができたと考えられる。
中学校では,操作性のよい自作モノコードを使い実験を単純化,省力化させ,コンピュータ計測装置を使うことにより,リアルタイムで音を具体的な数値や波形にして,音の高さや大きさと振動数や振幅との関係に気づかせることができた。互いの考えを比較・検討する場面を工夫し,主体的に予想や考察,まとめの活動が展開できた。ワークシートに相互評価や自己評価を記入させたことは,自らの学習を振り返らせ,科学的な思考力を育てることにつながったと考えられる。
高等学校化学では,ジュースなどの身近な溶液の凝固点測定から影響因子を予想することにより正確に課題把握ができた。溶液の種類,濃度の設定などを自ら組み立てることにより班独自の実験として取り組ませることができた。各班の様々な結果をグラフ化し全体で共有するなかで思考の整理をさせ,凝固点降下に関する法則を導かせることができた。一連の論理的に考える過程を通して,科学的な思考力が高まったと考えられる。
高等学校生物では,自分の体を使って実験することで,積極的に課題づくりに取り組めた。班毎に測定可能な体内リズムの項目と測定方法を考え,主体的な学習計画が立てられた。計測データをパソコンによりグラフに表すことで,まとめや発表を分かりやすくすることができた。予想と結果を比較・検討することで生徒の科学的な思考力を高めることができたと考えられる。