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授業研究のねらい
理科の学習では,「自ら学び,自ら考える力」を育てるために,自然の事物・現象の変化や働きをその要因と関係付けながら調べ,情報を収集していく活動が大切であると考える。さらに,児童一人一人が問題を見いだし,見いだした問題を多面的に追究する活動を通して, 問題の解決方法を身に付け,科学的な思考力を育てることができると考える。
そこで,観察,実験などの自然の事物・現象との直接体験が十分できるような教材・教具を工夫し,自然の事物・現象の相互関係や規則性を見いだすことができるようにしたい。また,問題解決の過程や結果を検討するための児童相互での話し合い活動や情報を得られる様々な体験活動などを指導計画に位置付け,科学的な思考力を育てていきたいと考える。 |
(2) |
科学的な思考力を育てるための手だて
ア |
自ら学ぶための情報収集の場を取り入れた単元計画
「自ら学ぶ」ということは,観察,実験を通して対象から情報を収集することである。事象提示では,児童がこれまでもっていた考えでは説明できない事象に出会ったり,自然の事物・現象を観察する中で,これまでの考えと矛盾する事象に直面したりする場面を工夫することが必要であると考える。そこで,日常生活において電磁石についての認識がほとんどない児童に対して,強力な電磁石や電流により動く装置を提示することで電磁石への興味・関心を高めたい。また,追究場面では,児童一人一人が自由に試みたり,操作したりする活動を位置づけて,問題を発見できるようにし,自らの問題を解決できるよう観察・実験の方法を提示し,対象から情報を集めることができるようにしたい。 |
イ |
自ら考えるための児童相互の話し合い活動
「自ら考える」ということは,自ら思考活動を行い,集めた情報を多面的に追究し考えることである。グループや全体での話し合い活動の場を設定することで,児童は友達の考えのよさを取り入れたり,自らの考えを振り返り修正したりしながら科学的な思考力を育てることができると考える。個々の問題解決では見方や考え方の広がりや深まりを期待できない。そこで,児童が自然の事物・現象に接したときの感じ方や疑問,自ら考えた観察,実験の方法,結果や結論などを発表し話し合う中で,多様な見方や考え方に触れ自分の見方や考え方を深める場を設けたい。問題解決の様々な過程に話し合い活動を積極的に位置づけることで,これまでの児童自身の考えを拡大したり,修正したりして学習計画の見直しができるようにする。 |
ウ |
よりよく問題を解決するためのワークシートの工夫
一連の問題解決の活動において,観察,実験の方法や結果を振り返り,新たに質的に高まった問題解決の活動が展開できるように,ワークシートを工夫する。学習過程における予想や仮説,観察,実験の計画や結果などを照らし合わせたり振り返ったりできるようにする。また,刺激を受けた友達の意見や考えのよさや,それによって変容した自分の考えを繰り返し記入していくことで,問題を解決する能力を高め,科学的な思考力を育てることができると考える。 |
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(3) |
授業の実践
ア |
単元名 電流のはたらき |
イ |
学習計画(15時間取り扱い)
導入場面においては,簡易検流計の動きからコイルの存在に気づき,電流には磁力を発生させる働きがあることを描画法を用いてとらえられるようにする。また,強力な電磁石を提示することで問題解決の意欲を喚起することができると考える。
単元の学習過程の中でコンセプトマップや描画法を用い,電流に対する自分の考えを図や絵で表現することを通して,関心を高め,新たな問題を発見したり考えを深めたりすることができると考える。教師は子どもの考えを把握しやすくなり,支援の方向付けができる。
追究場面では,自ら考える力を養うために,予想や仮説,構想を検討できる計画づくりや観察,実験を行う場を保障し,児童が問題解決の活動に主体的に取り組めるように支援する。また,観察,実験後は情報交換の場を設け,一人一人の解決過程が相互に関わり,結果や考察の比較や検討を行うことで,科学的な思考力を育てる。そして,ワークシート(資料2)を使用し,自ら考えた観察,実験の方法や結果,考察を記入するとともに,刺激を受けた友達の意見を記入することを通して,自己の見方や考え方の変容を捉えられるようにし,自己評価能力の向上を目指す。特に,共通課題「強力な電磁石を作ってみよう」における個別自由試行の場面では,教師がばねや粘土,マグチップなどを使った電磁力の測定方法を示し,児童自ら選択して実験が主体的に進められるよう支援する。このように適切な測定方法を示すことで,児童は目的意識をもって実験ができ,科学的に調べる能力と態度が育つと考える。
資料1 学習計画
資料2 自己評価能力を高めるワークシート
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ウ |
本時の学習(情報交換会②,個別自由試行2)
(ア) |
目標 |
学習課題を解決するための計画を話し合う中から,自分の新しい問題を発見したり,計画を練り直したりするなど,問題を多面的に追究できる。 |
(イ) |
準備・資料 |
ワークシート,ノートパソコン,プロジェクター,スクリーン,実験用具 |
(ウ) |
展開 |
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授業の結果と考察
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(5) |
授業研究の成果
ア |
事象提示では,電磁石への興味・関心を高め,それについての情報を収集することができた。また,追究場面では,自由試行により児童が自ら問題を発見できるようにし,対象から情報を集めることができ,自ら学ぶ力を育成することができた。 |
イ |
児童相互での話し合い活動を通して,友達の考えのよさを取り入れたり,自らの考えを振り返り修正したりしながら,自ら考える力を育成することができた。 |
ウ |
ワークシートを工夫したことは,一連の問題解決の活動において,観察,実験の方法や結果を振り返ることができ,新たに質的に高まった問題解決の活動が展開できた。 |
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今後の課題
ア |
身近な素材を用いて科学的な思考力を育てる教材を開発したい。 |
イ |
児童が問題を見い出し,自ら考え,問題を解決する過程において,互いにかかわり合い,科学的な思考力を伸ばすことのできる話し合い活動を創造したい。 |
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