• 1.研究のねらい
  •  教科書や教材の活用及びコミュニケーション活動の指導に関する実態調査を実施し,その結果を踏まえて授業研究を行い,言語の実際の使用場面を踏まえたコミュニケーション活動の指導の在り方を明らかにする。

  • 2.研究主題に関する基本的な考え方
  • (1)  実践的コミュニケーション能力
     コミュニケーション能力を構成する要素には文法能力,方略的能力,談話能力,社会言語学的能力があるとする考え方(Savignon:1997)が広く知られているが,「実践的コミュニケーション能力」については,中学校学習指導要領(平成10年12月)解説−外国語編− では,「単に外国語の文法規則や語彙などについて知識をもっているということだけではなく,実際のコミュニケーションを目的として外国語を運用することができる能力のことである。」とされている。高等学校学習指導要領解説−外国語編−では,「実践的コミュニケーション能力」とは,「外国語の音声や文字を使って実際にコミュニケーションを図ることができる能力である。すなわち,外国語を使って,情報や相手の意向など理解したり自分の考えなどを表現して,通じ合うことができる能力である。」とされている。中学校,高等学校それぞれの学習指導要領解説に示された「実践的コミュニケーション能力」についての考え方に基づき研究を進めることにする。
    (2)  言語の使用場面
     言語は何らかの場面の中で,何らかの目的をもって,情報を伝えるために使用するものである。言語によって実際に情報の伝達が行われる際には,場面にふさわしく,場面に必要な働きをもった語彙や統語構造等が,非言語的要素と有機的に関連をもちながら使われる。逆に,場面のない言語による情報の伝達は,現実にはあり得ない。「実践的コミュニケーション能力」の育成を目指した指導の充実を図るには,実際の言語の使用場面を十分に踏まえた上で,適切な場面設定をしたコミュニケーション活動を行う必要がある。指導にあたっては,実際のコミュニケーションで使用された音声や文字のテキスト等を活用したり,英語を母語とする外国語指導助手に支援をしてもらったりして,生きた英語に触れる機会を生徒に与えるようにし,言語の使用場面を生徒に意識させるようにする。

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