研究の成果
   農業・工業・商業科では,「生徒が自ら学び,問題解決能力を高める学習指導の在り方」という研究主題のもとに,生徒と教師に対し,自ら学び,自ら考える力を育てる学習指導に関する実態調査を行った。その結果をもとに,授業において生徒の勤労観や職業観を確立し,問題解決能力を育てる教育の充実を図るため,個別指導の徹底,分かる授業,生徒主体の授業,教材・教具を活用した指導法など,学習指導の改善と充実に努めることが大切であると考えた。そして特色ある学習形態や能力に応じた授業展開を推進し,生徒の問題解決の手だてとしては「友人に相談する」といったことを生かし,見通し(仮説)をたてたり,調べ学習の場や機会を増やす方策などを講じ,各教科において授業研究を実施した。
 その結果,次のことが明らかになった。
  (1)  農業では,グループ学習により生徒一人一人の意見を導き出す結果をもたらし,また,「特色ある学習形態」により,生徒が主体的に授業に参加するようになり,あわせてグループ毎に適切なアドバイスをすることにより,生徒の学習意欲も高まった。生徒はグループ内の友達同士でディスカッションすることで効果的な問題解決が図られ,自ら学び,自ら考える力を育成し,問題解決能力を高める本来の目的を達成することができた。
  (2)  工業では,「課題研究」の授業を通して,テーマの設定から研究や製作までできるだけ生徒たちの考えを支援し,展開の中では成就感を味わえるような感動の場面を設定し,適性に応じた作業を分担させ,調べる時間や考える時間,結果を述べさせる時間を確保するためにゆとりのある学習計画を立てさせた。以上のことから生徒たちが生き生きとした姿で意欲的に授業に取り組み,十分な学習効果をあげることができ,今回の研究のような総合的な取り組みが有効な手だてであることを確認した。
  (3)  商業では,授業時間の中に「みんなが指導者」を設定し,他人に教えることによって生徒個人に責任感と自信をもたせ,自主的に取り組ませる工夫をし,また,「社債カード」を用いた「模擬取引」を行うことで「動きのある授業」を展開し,生徒参加型の授業展開を工夫することによって,今まで「受け身」で学習してきた生徒たちが,授業に対して積極的に参加するようになったことが分かった。
 
おわりに
 本研究を通して,生徒が自ら学び,問題解決能力を高める学習活動に取り組めるよう,実態調査をもとに調査研究及び授業研究を行い,学習指導の在り方の究明に取り組んできた。このことから「授業計画の工夫」,「特色ある学習形態」を推進し,「動きのある授業」を展開する中で授業の効果が上がり,生徒が主体的に授業に参加するようになり,学習意欲も高まり,また,ゆとりのある学習計画を立てることにより,十分な学習効果が上がることが分かった。
 これから変化の激しい時代の中にあって,農業・工業・商業の専門教科においては,効果的な教材・教具を活用し,調べ学習の場や機会を増やすことにより,常に時代の先端を見通していかなければならない。また,学習評価の在り方についても自己評価や生徒同士の相互評価など,これからの評価法として取り組まなければならないことも多く,このような評価を重視することにより,生徒と教師がともに学習し,成長を図っていくことが大切である。
 今回の研究の成果をもとに,今まで以上に授業を大切に,これからの教育実践に生かしていきたい。

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