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算数・数学科では,1年間にわたり,理論研究,研究主題にかかわる調査や算数・数学の問題解決学習における算数的・数学的活動である「外的な活動」・「内的な活動」などに研究の視点を設定し,「算数・数学的活動の楽しさを味わう算数・数学科学習の在り方」における学習過程や学習指導について授業研究を行った。
小学校では,研究主題に迫るために,子ども一人一人が目的意識をもって主体的に取り組めるような指導法の改善に着目した。自分らしさを発揮し学び合いながら算数のよさを見つけだしていく過程において,さまざまな算数的活動に取り組むことにより,考える楽しさに気付けるようにすることが大切と考えた。そのためには,子ども自らが問題をつかみ,解決への意欲を高めるような「場面設定」や「単元構成の工夫」,既習事項に目を向け,それを生かしながら,さまざまな方法で解決できるような「学習の場」や「支援の工夫」,さらに,自力で導き出した考えを広げ互いに深めて,「算数のよさに気付いていく場の設定の工夫」をした。その上で,体育の授業と関連付けた授業を展開して,体験を通して算数的な気付きを生み出した。さらに,それらの気付きや今までに学んだことを自ら問題解決に生かすことにより,算数の楽しさやよさを味わうことができた。しかし,グループでの話し合いを子どもたちの力で深めていくことは,教師の支援がないと難しいことが分かった。
中学校では,生徒の観察や意識調査などから,伴って変わる二つの量について表,式,グラフを用いて学習を進めることは理解しているが,式が関数であるかのようにとらえ,グラフから波形の意味やグラフのもつイメージを想像できないことが分かった。日常での実体験から,数学的事象の把握が特に必要であることを感じた。そのために,グラフ電卓(TIー92)と距離センサー(CBR)を用いて,実験や観察をし,伴って変わる二つの量の関係について,グループで話し合ったり考えたりしながら,調べる活動の楽しさを味わえるように授業を構成した。その結果,問題を解決していく過程で,今までにない意欲的な取り組みが見られるようになった。また,自分なりの考えを基にグラフを描くことで,生徒は時間と距離の関係を理解し,グラフ,表,式の関係をとらえ,伴って変わる二つの量について理解できることが分かった。
高等学校では,「個数の処理」という単元の中で,何通りもの解き方が出来る問題を取り上げ,生徒が自分で手を動かしたり,道具を使って実験したりすることや,さらに他の生徒とのコミュニケーションを通して,個々のレベルに応じて解決できるようにした。その結果,生徒一人一人は,自らの数学的活動を行っていく上で自信とやる気をより高めることができることが分かった。また,自分の解法をグループ内で発表し合う中で,別の解法やさらに高度な解法に取り組む足がかりをつくることができるということが分かった。 |