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学習につまずいている子どもへの配慮
(聞く,話す,読む,書く,計算することなどに問題がある子どもたち) |
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具体的な学習場面でつまずいている子どもがたくさんいます。学習のつまずき(一次障害)が原因で,さまざまな不適応行動(二次障害)を起こしている場合がたくさんあります。子ども自身も苦しんでいます。 早めにつまずきの原因を見つけてあげましょう。 |
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(1) |
指導の基本的な理解をしておこう |
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@ |
「怠けているからできない」ということはほとんどありません。「怠け」は,学習のつまずきから抜け出せないために意欲を失った状態です。 |
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A |
「できない」ことの質(どのようにできないのか)を分析すると指導の手がかりが見つかります。 |
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B |
自信を失っている場合は,その子のできること,得意なことに目を向けて,それをたくさん体験させ,自信をつけていきながら学習のつまずきの改善にあたることが基本です。 |
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C |
機能的障害(知的障害や学習障害など)が原因の場合は,本人の努力だけでは難しいです。障害の理解と配慮が必要です。 |
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(2) |
気になる行動をする子どもの指導をしよう |
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@ |
<指示が理解できない子ども>の指導 |
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<問題点のチェックをしよう> |
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ア |
聞こえていないのかもしれない |
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<指導の手がかり> |
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(ア) |
全体的に,また一部の特定の音が聞こえません。
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→ |
○ |
聴覚検査をし,子どもの聞こえの
特徴,傾向をつかみます。 |
○ |
環境づくりの工夫;机の配置など |
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→ |
○ |
静かな環境づくり |
○ |
声掛け以外に,絵や文字で補助 |
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(ウ) |
音の聞き分けができていないのかもしれません。
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→ |
○ |
区別のつかない音の聞き分けの訓練(例…「うま」と「くま」) |
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イ |
注意が集中しにくいのかもしれない |
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<指導の手がかり> |
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(ア) |
周りの刺激に反応し過ぎてしまうのかもしれません。
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→ |
○ |
刺激の少ない環境を調整します。 |
○ |
新しい内容や難しい学習では,初めは1対1で,徐々に少人数から多人数へと集団を大きくします。 |
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(イ) |
自分に声をかけられたと思いません。
- 全体に声をかけた時,自分に関係ないと思ってしまう子どもがいます。
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→ |
○ |
入り交じった声の中から目的の意味ある声を聞き分けるのが苦手な子どもがいます。 |
・ |
全体に話しかけてから,再度対象児に近寄って,繰り返し話しかけるようにします。 |
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(ウ) |
耳からの情報を処理するのが苦手です。
- 極端に聴覚情報の処理が苦手で,視覚情報の処理が得意な子どもがいます(自閉症児など)。
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→ |
○ |
絵や文字,動作など視覚情報を同時に添えて声をかけます。 |
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ウ |
意味が把握できないのかもしれない |
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<指導の手がかり> |
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(ア) |
当然知っていると思われる言葉を知らなかったということがあります。(発達の遅れのある子ども) |
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→ |
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- 思考過程の中で情報の整理の仕方が分からず,すぐ忘れてしまうことがあります。
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→ |
○ |
復唱の方法を教えます。 |
○ |
数語の単語を覚えさせ,直後ないし数秒後に思い出して言う練習をします。 |
○ |
短い言葉で順序よく話します。 |
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エ |
全体的に聞く力が弱い |
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<指導の手がかり> |
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(ア) |
心理的,社会的関係の問題で,聞き方になれていない,聞く構えが育っていないことがあります。 |
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→ |
○ |
絵本や短いお話などの読み聞かせの活動を十分に取り入れます。 |
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A |
<話すことが苦手な子ども>の指導 |
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<問題点のチェックをしよう> |
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ア |
「話せない」のかもしれない |
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<指導の手がかり> |
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(ア) |
理解言語も表出言語も遅れている子どもがいます。 |
(イ) |
理解言語は豊かなのに表出言語が遅れている子どもがいます。 |
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→ |
○ |
言葉の概念を明確にする。 |
・ |
具体物や絵カード等を利用し,分類したり,関係付けたり,それを言語化する練習をして語いを増やしていきます。 |
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イ |
「話さない」のかもしれない |
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<指導の手がかり> |
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→ |
○ |
緊張をほぐします。 |
○ |
信頼関係をつくります。 |
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B |
<読むことが苦手な子ども>の指導 |
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<問題点のチェックをしよう> |
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ア |
文字に取り組む前に・・言葉の分解能力 |
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<指導の手がかり> |
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(ア) |
言葉を個々の音に分解する力が育っていません。 |
- 数音からなる単語を1音と認識している子どもがいます。
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→ |
○ |
単語の音だけ積み木を置く練習や単語の音と積み木の位置を対応させる練習などをします。 |
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イ |
文字が見えないのかもしれない |
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<指導の手がかり> |
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→ |
○ |
盲学校等の専門機関に相談します。文字を拡大して提示します。 |
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(イ) |
地(背景)から図(文字)を区別することができません。結果として文字が判別できません。 |
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→ |
○ |
視知覚検査をします。 |
○ |
視知覚学習ブックなどで視知覚力をつけます。 |
○ |
文字を拡大して提示します。 |
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ウ |
文字が分からないのかもしれない |
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<指導の手がかり> |
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→ |
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→ |
○ |
大きいものをなぞらせます。 |
○ |
似た文字を取り出して大きくして見せます。 |
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(ウ) |
一字一字は読めますが,単語として読むことができません。(単語をまとまりのあるものとして理解していません) |
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→ |
○ |
リズム読みをします。(リズムのある教材で) |
○ |
日常使っている言葉から,また2音節の単語から指導します。 |
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エ |
行や助詞をとばして読んでいるのかもしれない |
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<指導の手がかり> |
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(ア) |
一行だと見えますが,2行以上になると目的の文字や行に焦点が合わなくなります。(特に次の行を読む時に混乱する場合があります) |
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→ |
○ |
指で文字を追ったり,必要のない行を隠して読ませたりします。 |
○ |
読む教材を拡大コピー等で大きくしてあげます。 |
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オ |
文字や文は読めるが,意味を理解していないのかもしれない。 |
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<指導の手がかり> |
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(ア) |
文字や文と具体的イメージが,結びついていません。 |
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→ |
○ |
1つの単語を読ませる時に,必ず絵や写真などを利用して意味や内容をとらえさせます。 |
○ |
動作絵やカードによる短文の表現力の反復練習をします。 |
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C |
<書くことが苦手な子ども>の指導 |
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書くことが苦手な子どもの指導については,個々のつまずきについて多くの実践研究や参考文献がありますので,ここでは問題点のチェックの視点のみ記します。 |
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<問題点のチェック> |
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ア |
視覚情報の分析,統合,記憶に問題はないでしょうか。 |
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(ア) |
地(背景)から図(文字)を区別することができません。 |
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(イ) |
図形が識別できていません。 |
イ |
視覚的に弁別できるが,構成能力の点で問題はないでしょうか。 |
ウ |
目と手の協応運動能力に問題はないでしょうか。 |
エ |
手先が不器用なのではないでしょうか。 |
オ |
粗大運動能力(歩く,走る,体操する,キャッチボールをするなど)の困難。 |
カ |
書くときの姿勢に問題はないでしょうか。 |
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(ア) |
筆圧や字の大きさのコントロールができません。 |
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(イ) |
ゆっくりと丁寧に書く姿勢がとりにくいです。 |
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D |
<計算することが苦手な子ども>の指導 |
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計算することが苦手な子どもの指導についても,(5)と同様問題点のチェックの視点のみ記します。 |
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<問題点のチェック> |
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ア |
操作の言葉が分かっていないのではないでしょうか。 |
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操作の言葉= |
多い,少ない,同じ,合わせる,分ける,みんなで,残りは,引く,足す,割る,かけるなど。 |
イ |
具体物で操作できているでしょうか。 1対1で具体物を置けますか。 |
ウ |
頭の中で操作しながらイメージできるでしょうか。 |
エ |
数や式に表すことができるでしょうか。 |
オ |
文章が読めるでしょうか。 |
カ |
問題場面がイメージできるでしょうか。 |
キ |
数の仕組みが分かっているでしょうか。 (数の量的な把握、順序的な把握など) |
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E |
<知的障害児>の指導 |
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先に述べた@〜Dの学習上のつまずきが全体的に多く見られる障害として知的障害があります。知的障害児の指導上の配慮は@〜Dを参考に検討していただければよいのですが,学習以前の問題があって取り組みが進まないことがよくあります。 |
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○知的障害児の学習の構え
ア |
知的な遅れはもちろんですが,それ以上に理解できない状況に長く置かれたために,二次障害として「考えない習慣」が形成されてしまっている子どもがいます。 |
イ |
指示されることが多く,依存的であり「指示待ち人間」になっている場合が多く見られます。 |
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→ |
<指導上の配慮>
ア |
初めはできない課題よりもできる課題を十分行い,自信をもたせます。 |
イ |
選択的声かけを多くし,自己決定する機会を多くし,自発性を高めて「考える習慣」を育てます。 |
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F |
<学習障害(LD)児>の指導 |
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先に述べた@〜Dのつまずきの一部が極端に現れる障害として学習障害(LD)があります。 |
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○学習障害の症状
- 基本的には全般的な知的発達に遅れはありませんが,聞く,話す,読む,書く,計算する,または推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものです。
○原因
- 中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されます。
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→ |
<指導上の配慮>
ア |
原因が脳の機能障害であるので,本人の努力だけではできない部分があります。
できないことに対して「怠けている」とか「努力が足りない」と責めないことが大切です。 |
イ |
得意な面や別なよさを見つけてやり,それを伸ばすように働きかけます。 |
ウ |
努力してもできないということで,自信を失い,二次障害として不登校などになることがあります。周囲の関係者の理解と支えが大切になってきます。 |
エ |
診断は大変難しいので,専門機関との連携が必要です。 |
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