(1)  国語科(小学校1年)での実践
   友達とかかわり合う楽しさの体験を促す授業
学習計画
 単元  「おおきなかぶ」のげきをしよう
 単元について
   本単元の教材は,おじいさん一人の力ではどうしても抜けない大きなかぶが,次第に応援者が加わることによってついに抜け,みんなで喜ぶという絵本である。場面ごとの展開に注目させ,「場面の様子や登場人物の行動を考えながら,話のおもしろさを楽しむ」という学習をさせていく。
 児童の実態(男子12人 女子15人 計27人)
   1学期の学習や今までの読書経験を通し,ほとんどの児童は,ある程度の長い文章を読むことに意欲と自信をもっている。物語を好む児童が多い。情緒学級に通級し,特に個別的な配慮を要するA男がいる。
 学習形態
   学習の導入部分では一斉学習。各場面の読み取りでは,毎時間ごとに,「一斉学習⇒個別学習⇒グループ学習⇒一斉学習」という流れで学習意欲の向上を図った。次の劇化の第1時が本時であり,構成的グループ・エンカウンター(以下SGE)を応用したグループ活動である。その後,グループ学習と全体発表会があり,まとめとして,個別に登場人物への手紙を書き,SGEを取り入れたパビリオン方式で発表しあった。
 
結果と考察
 結果
   ウォーミングアップ,メインエクササイズともに,生き生きと取り組んでいた。ウォーミングアップでは,声や動作を合わせる楽しさを積極的に味わっていた。メインエクササイズでは,頭を寄せ合って聞き合う,考えている友達の言葉を待つ,励まし合う,認め合うといった姿が見られた。自分たちで「パス(休み)」のルールを加えるなどの工夫も見られた。最後まで意欲的に取り組む姿が見られた。フィードバックの場面でも,活発な発表や挙手が続いた。
 考察と課題 ー4種類のサポートの視点からー
   道具的サポートの,黒板の活用や絵の掲示は,分かりやすく効果的だった。お面は扱いづらいところもあったのでペープサートの方がよかった。フィードバックの場面において,繰り返しや明確化をしながら受容的な態度で接した情緒的サポートは,教師に対する安心感や親密感を高めただけでなく,児童同士の共感性も高め,人間関係づくりに効果的であると感じた。情報的サポートでは,事前に児童の実態を把握し,つまずきそうな点を予想し,伝える情報を整理しておくことが重要である。適切な情報により,児童は,学習への理解を深め,具体的な見通しをもって取り組むことができた。評価的サポートでは,肯定的な評価を提供することにより,児童は,意欲を高めていた。今後は,低学年の児童に適した「振り返りアンケート」や自己評価・相互評価の在り方を工夫していく必要がある。
 
本時の学習
 目標
   大きなかぶを見た時のおじいさんのことばを想像することを通して,会話やかけ声以外のところでも,登場人物の様々な気持ちが含まれていることを思い出す。
   互いに考えを言い合うことにより,友達の個性にふれ,信頼感を深めるとともに安心して自分の考えを言える楽しさを味わう。
 準備・資料
   場面図,記録用紙,おじいさんのお面,振り返りアンケート
 展開
  展開


資料1 振り返りアンケート
ふりかえりアンケート
なまえ
 ともだちと たすけあって できましたか。(集団凝集性)
 ともだちと なかよしの かんじが しましたか。(対友人親密感)
 せんせいは はっぴょうや はなしを よく きいてくれましたか。(対教師受容感)
 せんせいと なかよしの かんじが しましたか。(対教師親密感)
 もっと べんきょうしたいと おもいましたか。(意欲性・興味関心度)
 たのしく いっしょうけんめい できましたか。(意欲性)
 おじいさんの きもちに なれましたか。
 
かんそう




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