このたび,本研修センター教科教育課が主体となって進めてきた「創造性を培う学習指導」に関する研究が本年度をもって完結し,研究報告書を刊行する運びとなりました。時あたかも,国挙げての教育改革の真っ只中にあるこの時期,平成10年度,教科教育第一課,教科教育第二課,健康・スポーツ教育課がそれぞれにスタートした研究ではありますが,所内の機構改革にともなって,革科教育課として一括のまとめとなりました。したがいまして,まとめも,旧三課毎に集約いたしましたので,教科教育課とvしての統一性に欠けるところもあろうかとは存じますが,逆に,教科の特性を打ち出すことができたのではないかと自負しているところです。 さて,中央教育審議会及び教育課程審議会答申でうたわれた,[ゆとり〕の中で〔生きるカ]をはぐくむという指針も,新学習指導要領が告示され,小学校,中学校では平成14年度から,高等学枚では平成1S年度から実施に移されることはご案内の通りです。このような時,児童生徒一人一人の個性や主体性を大切にし,意欲的に取り組むような学習活動がますます重視され,そのためにも,児童生徒の興味,関心に直結し,児童生徒に感動を与え,驚き,喜びなどを感じさせるような学習活動の工夫が重要になってくるものと考えます。 私たちは本研究を進めるに当たって,「創造性」とは「児童生徒一人一人が,自分のよさや可能性を発揮しながら主体的に基礎的・基本的な内容を身に付け,自分にとって新しい価値あるものを創り出すことであり,創り出そうとする資質・能力である。」ととらえ,児童生徒一人一人が進んで学ぶ意欲をもち,自らの発想を生かし,表現力を発揮できるように学習を展開していくことが,創造性を培うことことであると考えました。 そこで,多くの学校の協力を得た意識・実態調査を実施し,実態を蹄まえたうえで,指導法の改善や教材・教具の開発等を通して,創造性を培う授業を構築し,実践することによって「創造性を培う学習指導」の在り方を究明して参りました。本研究は,教科によって授業・学習の手順や組立に多少の違いはありますが,今後の教育観の方向に沿った現状を改善する一つの指針となるものと考えます。本報告書が多くの先生方の今後の授業実践に活用され,学習指導の一層の工夫改善に役立つことを期待しています。 最後になりましたが,本研究を進めるに当たり,ご指導いただいた講師の先生方,各教科における調査にご協力いただきました関係学校及び研究協力貞の先生方に心から感謝の意を表します。 平成12年3月 |
茨城県教育研修センター所長 秋山和衛 |
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