2.主題に迫るために

  (参照ページ Y 資料,下記の()は調査項目の番号です。)
(1)  体操領域に関する意識・実態調査の結果(県内中学校指導者体育主任232人・生徒2118人)
 スポーツテストの実施について
(ア)  全中学校で実施し,年に2回は3校,年に3回以上は1校である。
(イ)  スポーツテストの結果を分析し,授業の中で説明・指導を実施している学校は,約74.1%あり,実施していない学校は,約11.9%である。
(ウ)  スポーツテストの結果は,体力・運動能力つくりに対する動機づけになると答えた指導者は,約72%であるが,生徒は32.3%である。(問38,問生3)
 体操領域について
(ア)  体操領域の実施については,年間計画に基づいて,1学期に70%以上の学校が実施し,2学期3学期にも年間計画の中で計画的に実施している学校が30%以上である。しかし,教員に任せている学校が5.6%あり,実施していない学校が3%ある。(問1)
(イ)  単元の実施時間数1〜2時間の学校は,約3.6%あり,8〜10時間は約17.5%,10時間以上実施している学校は,約6.2%である。(問4)
(ウ)  体操だけの単元を設けている学校と他の領域との組み合わせ授業をしている学校の比較について
  •  体操だけの単元を設けている授業の内容は,トレーニング体操,健康つくり体操,集団行動,動きつくりの体操,スポーツテスト,その他の運動などである。(問5)
  •  他の領域との組み合わせ授業を実施している理由は,体操だけでは飽きてしまう,体操だけの授業はつらい,つまらない,興味を持ってくれないなどが大部分である。また,内容は,準備運動・整理運動・補強運動をとおしてのものである。
  •  体操だけの授業の指導形態は,約78.6%の学校が一斉指導であるが,組み合わせ授業では,一斉指導約44.8%,班別指導約48.4%,個別指導約12.1%,で2年,3年になるに連れ生徒の主体性に移っている。(問6,問18 複数回答)
  •  単元計画・毎時間の計画の準備については,どちらも,指導者が準備する学校約72.1%,生徒(グループ)約33.9%,個人約7.4%であり,学年があがるごとに少しずつ生徒の主体性に移っている。(問8,問21 複数回答)
  •  組み合わせ授業による準備運動・整理運動の準備は指導者が準備するよりも,2年3年では生徒(グループ)に準備させているが約50%である。(問19)
  •  補強的な運動の準備は,指導者が準備している学校53.4%,生徒(グループ)34.6%,個人4.6%である。(問20)
(エ)  体操領域の授業で,体力つくりの知識について,準備運動・整理運動・補強運動そのものの運動を指導している学校は約50%あるが,必要性や自己の体力に適した運動の作り方などの理論を指導している学校は少ない。
(オ)  体操領域の授業で,健康体力つくりの実践ノートをつけることができるような指導を,かなり行っている学校は1.3%あり,少し行っている学校は7.3%ある。さらに,運動部活動で体力つくりの内容を記録している生徒が15%おり,また,体操の授業で学んだことを家庭で実施している生徒は38.9%,体力つくりの内容を記録している生徒は9.0%(運動部員中)である。(問12,問25,問生10,問生12,問生16)
(カ)  体操の授業で学習したことが,運動部活動での体力つくりに役に立つかについては,かなり役に立つ・少し役に立つと答えた指導者は約42%であるが,生徒は51.4%である。また,家庭での体力つくりにかなり役に立つ・少し役に立つと答えた指導者は約20.6%であり,生徒は52.4%である。(問15,16,29,30,問生9,15)
(キ)  体操領域の授業は,生徒の体力増進になっているかについては,運動量の確保・技能の向上ともに同じ様な回答であり,かなり増進している・少し増進していると答えた指導者は34.8%であるが,生徒は34.5%である。(問14,28,3q22〜3q26)
(ク)  中学生の健康体力をどのように発達させるかの質問では,指導者は,1位運動部活動約64.0%,2位授業の工夫約53.3%,3位家庭での体力つくり約31.2%,4位体育的学校行事約5.2%であり,生徒は,1位運動部活動35.6%,2位家庭での体力つくり32.5%,3位授業の工夫19.6%,4位体育的学校行事8.0%である。(問39,問生4)
 (問1は指導者への質問番号,問生1は生徒への質問番号,3q1は体育に関する知識の授業をしたあとの生徒への質問番号)
(2)  実態調査からの分析
 体操領域の授業から,生徒の体力の向上や主体的な実践力・自己実現などを望むには,体力つくりの意義や体力の必要性について,生徒の理解が得られるような実践授業が重要であり,体力の高め方(目的にあった運動の作り方,計画の立て方など)の系統性のある理論的な指導法を研究する必要がある。
 体操領域の授業は,運動部活動や家庭での体力つくりに役に立つと考えている生徒が多いので,それぞれの種目ごとに,個人の目標に合わせた体力つくりができるような具体的な指導方法や生徒の要求に答えられる資料の作成が必要である。
 体操領域の授業をとおして,指導者からの問題点や課題をあげると次のようである。
  •  すぐに効果がでないので,飽きてしまう。興味・関心を持ってくれない。
  •  体操の授業はきつくてつらい。
  •  指導者の勉強不足,教材・教具の工夫が足りない。指導の仕方がわからない。
  •  体操の必要性を理解させていない。健康体力つくりの意義を理論的に指導できない。
  •  目的を持たせる工夫が足りない。継続させることが難しい。
  •  意欲づけ・意識づけがむずかしい。部活動・家庭など,いろいろな場面での運動の実践につながらない。
  •  体操の授業を減らしてしまう。(行事優先)学校教育活動全体の中での体力つくりが少ない。(業間・業前)がとれない。
  •  生徒に動きつくりをさせると時間がなくなり,運動量が少ない。
     組み合わせの授業では,準備運動または整理運動だけでおわってしまう。
  •  体力の差・意欲の差がありグループつくりがたいへんである。
  •  楽しさを重視すると,体力増進まで指導できない。
  •  教師の共通理解が不足。
 体操領域の授業で,生徒の意欲や体力の向上に役だつための工夫点は次のようである。
  •  音楽を導入。
  •  班別発表会を設ける。
  •  万歩計を使用。
  •  準備運動の必要性を理解させ,主運動につなげた練習方法の指導。
  •  ストレッチ体操のヒントカードを作成。チャレンジカード,評価カードの利用。
  •  月一回の持久走で記録をとる。
  •  各種体力向上のセットメニュー表を作成。
  •  一斉指導〜班別指導〜一斉指導〜班別と授業形態の工夫。
  •  グループ対抗のゲーム化,トレーニングコースの利用。
  •  器具等をとりいれた授業。(跳び箱,フラフープ,平均台,タイヤ,ゴム,ペットボトルに砂を入れて)

中学生の体力を発達させるにはどのような方法がよいか(グラフ)


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