2.教科別研究主題に関する基本的な考え方

 児童生徒たちは,それぞれ自分の考え方をはじめ,感じ方や判断の仕方,表現や活動の仕方など,様々なよさや可能性を内に秘めている。そのようなよさや可能性を発揮することが生きるとき,意欲的に,自分の課題や意図を解決したり,実現したりするようになると考えられる。そのようなとき児童生徒は,主体的,創造的に生きる資質や能力である思考力や判断力などを発揮したり伸ばしたりしていると言える。
 教師は,児童生徒のよさや可能性を引き出し,さらに伸ばしていくようなかかわり方を工夫する必要がある。すなわち,児童生徒がどのような感じ方をしているのか,何を表現しようとしているのか,また,どのような支援を行えばその考え方や感じ方は深まるのかなどをしっかりとらえ,児童生徒の立場に立って授業を進める必要がある。
 音楽の授業が既存の作品を対象にして行われる活動であっても,あるいは新しい作品をつくりだす活動であっても,児童生徒にとっては一人一人がその感性や創造性を発揮しながら,自分にとって価値ある新しいものをつくりだすことを意味しているのである。すなわち,児童生徒一人一人が心の中に描いたイメージや思いを,自分の感じ方や考え方のよさを発揮しながら,自分の音や音楽で工夫して表現したり,あるいは自分自身が演奏者の立場に立って音楽を聴いたりすることを意味している。これからの音楽の授業では,児童生徒の立場に立って,創造的な学習活動をより主体的で活発に行うことができるよう,授業の工夫改善を図る必要がある。その視点として次のようなことが挙げられる。
(1)  既存の音楽作品を自ら工夫して演奏したり,積極的にそのよさや美しさを感じ取りながら聴いたりする活動を行う。また,単なる演技技術の指導や知識の伝達に終わらないようにする。
(2)  創造性が高まる表現活動を重視し,新たな発想を生み出すもととなる感性が育つようにする。
(3)  音楽をつくって表現する活動や自由な発想による即興的な表現,創作等を中心に学習の手だてを工夫し,内発的な学習意欲に基づいて表現活動を行えるようにする。
(4)  一人一人が感じた音楽を,演奏したり楽譜等に書いて,具体的に表現できるように支援する。

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