(ア) |
創造性育成の意義(表A)
小・中・高等学校とも,創造性育成の必要性の意識をもっている。その理由としては全体で約60%の教師が「自己実現のため」と答えている。多くの教師は,新しい価値あるものを創り出す自己実現の中で創造性を育てる必要があると考えている。
表A 創造性育成の意義
どのような意味で,子供の創造性を育てる必要があるか。 |
小 |
中 |
高 |
全体 |
自己実現のため |
63.3 |
61.6 |
55.7 |
59.8 |
社会の変化に対応するため |
17.3 |
21.2 |
13.4 |
17.7 |
生活の向上のため |
11.2 |
9.1 |
13.4 |
11.2 |
社会的な問題の解決のため |
8.2 |
6.1 |
15.5 |
9.9 |
必要性を感じない |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
その他 |
0.0 |
2.0 |
2.1 |
1.4 |
|
|
(イ) |
育成したい創造的な能力及び態度(表B)
小・中・高等学校とも理科の授業の中で,特に育成したい創造的な能力及び態度としては,好奇心,論理性,自発性が重要であるとし,これらを創造性育成の大きな要素としてとらえている。
表B 育成したい創造的な能力及び態度
理科の授業で,特に育てたい創造的な能力及び態度。(二つまで解答可) |
小 |
中 |
高 |
全体 |
好 奇 心 |
64.3 |
38.4 |
51.5 |
51.4 |
論 理 性 |
34.7 |
32.3 |
38.1 |
35.0 |
自 発 性 |
29.6 |
39.4 |
32.0 |
33.7 |
柔 軟 性 |
19.4 |
33.3 |
30.9 |
27.9 |
ひ ら め き |
17.3 |
22.2 |
13.4 |
17.7 |
独 自 性 |
19.4 |
20.2 |
10.3 |
16.7 |
持 続 力 |
11.2 |
10.1 |
6.2 |
9.2 |
集 中 力 |
2.0 |
1.0 |
5.2 |
2.7 |
共 感 性 |
2.0 |
1.0 |
2.1 |
1.7 |
そ の 他 |
0.0 |
0.0 |
4.0 |
1.0 |
|
|
(ウ) |
創造性育成の手だて及び支援(表C,D)
理科の授業の中で,児童生徒の創造性を育てるための手だてとしては,小・中・高等学校全体で「体験や活動を重視する学習活動」を約70%,「発想がふくらむ材料・用具の準備」を約50%としている。また創造性育成のための支援としては,小・中・高等学校全体で「創造性を育む教師の意識 や態度」を約50%,「学習指導方法の工夫・ 改善」を約40%としている。
多くの教師は,創造性育成の手だて及び支援として,体験を重視した問題解決活動を展開することや教師自身が創造性を育む意識や態度をもつことが重要だと考えている。
表C 創造性育成の手だて
理科の授業で,子供の創造性を育てるためには。(二つまで回答可) |
小 |
中 |
高 |
全体 |
体験や活動を重視する学習活動 |
77.6 |
66.7 |
56.7 |
67.0 |
発想がふくらむ材料・用具の準備 |
59.2 |
37.4 |
45.4 |
47.3 |
考えを自由に表現できる環境の整備 |
20.4 |
36.4 |
23.7 |
26.9 |
思う存分活動できる時間の確保 |
21.4 |
28.3 |
18.6 |
22.8 |
自由な活動で,課題を把握 |
18.4 |
18.2 |
17.5 |
18.1 |
協力しながら活動できる場の設定 |
5.1 |
7.1 |
15.5 |
9.2 |
特に考えたことはない |
0.0 |
0.0 |
3.1 |
1.0 |
その他 |
0.0 |
0.0 |
7.2 |
2.4 |
|
表D 創造性育成のための支援
創造性育成のための支援として,重要なこと。(二つまで回答可) |
小 |
中 |
高 |
全体 |
創造性を育む教師の意識や態度 |
57.1 |
45.5 |
51.5 |
51.4 |
学習指導方法の工夫・改善 |
46.9 |
35.4 |
39.2 |
40.5 |
理科的環境の充実 |
26.5 |
31.3 |
29.9 |
29.3 |
教材・教具の開発 |
29.6 |
13.1 |
18.6 |
20.4 |
学習内容の精選 |
11.2 |
34.3 |
18.6 |
21.4 |
温かい人間関係のある学級集団 |
19.4 |
25.3 |
6.2 |
17.0 |
学習時間の確保 |
13.3 |
12.1 |
21.6 |
15.6 |
特に重要と思われるものはない |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
その他 |
1.0 |
2.0 |
5.2 |
2.7 |
|
|
(エ) |
観察・実験における創造性育成の手だての視点(表E)
理科の授業で,小・中・高等学校とも観察・実験における創造性育成の手だての視点としては,課題や問題を児童生徒自ら見つけること,予想や仮説を立てること及び実験方法を児童生徒自ら考えることが特に重要なポイントと考えている。
観察・実験における創造性育成の手だての視点
理科の授業で,創造性を育てる手段や方法で重要なこと(二つ回答可) |
小 |
中 |
高 |
全体 |
課題や問題を子供自ら見つけられる |
64.3 |
60.6 |
44.3 |
56.5 |
予想や仮説が立てられる |
46.9 |
40.4 |
48.5 |
45.2 |
実験方法を子供自ら考えられる |
49.0 |
42.4 |
30.9 |
40.8 |
実験結果についての話合いの充実 |
23.5 |
33.3 |
37.1 |
31.3 |
子供自らまとめられる |
15.3 |
18.2 |
17.5 |
17.0 |
特に重要と思われることはない |
0.0 |
0.0 |
1.0 |
0.3 |
その他 |
1.0 |
1.0 |
8.2 |
3.4 |
|
|
(オ) |
観察,実験における学習過程の実態(表F)
小・中・高等学校とも児童生徒の発想を生かした課題作りや児童生徒の考えた観察・実験方法をよく取り入れて授業を展開している割合は少ない。特に,高等学校では,生徒の発想を生かした課題作りをしていないが約60%,生徒の考えた観察・実験の方法を取り入れていないが約70%である。
次に小・中・高等学校とも児童生徒に予想を立てさせたり,すべての児童生徒が観察・実験に参加できような配慮をしたり,観察・実験の後に児童生徒の評価をしている。また小・中学校では,観察・実験の後に話合いの場を設定し,児童生徒たちの意見を尊重したまとめ方を行っているものの,高等学校では,50%がしていない状況である。
これらの教師の観察・実験における学習過程の実態(表F)は,児童生徒の観察・実験の実態(表5〜表8−2)と同じ傾向を示している。また,表Eの観察・実験における創造性育成の手だての視点についての教師の意識と比較すると,問題の把握及び実験方法における実態(表F)との間に大きな隔たりがあることが分かる。特に,高等学校において問題解決活動がほとんど行われていないのは,新しい学力観のもとで取り入れられた探究活動や課題研究がまだ定着せず,今後,授業を活性化する実践研究が待たれる。
表F 観察・実験における学習過程の実態
質 問 項 目 |
回 答 事 項 |
小 |
中 |
高 |
全体 |
(1) |
観察・実験における導入で,子供自ら課題をつかめるような事象提示をしていますか。 |
|
よくしている |
19.4 |
16.2 |
9.2 |
14.7 |
ときどきしている |
73.5 |
81.8 |
58.9 |
71.9 |
していない |
7.1 |
2.0 |
31.9 |
13.4 |
(2) |
観察・実験の場面で,子供の発想を生かした課題(観察,実験のテーマ)作りをしていますか。 |
|
よくしている |
17.3 |
11.1 |
7.2 |
11.7 |
ときどきしている |
70.5 |
62.6 |
36.1 |
56.9 |
していない |
12.2 |
26.3 |
56.7 |
31.4 |
(3) |
観察・実験で,子供に予想をたてさせていますか。 |
|
よくしている |
82.7 |
74.7 |
22.7 |
60.7 |
ときどきしている |
17.3 |
25.3 |
52.6 |
31.5 |
していない |
0.0 |
0.0 |
24.7 |
7.8 |
(4) |
子供の考えた観察,実験の方法を取り入れていますか。 |
|
よくしている |
17.0 |
9.1 |
5.2 |
10.5 |
ときどきしている |
71.1 |
70.7 |
23.7 |
55.8 |
していない |
11.9 |
20.2 |
71.1 |
33.7 |
|
よくしている |
14.3 |
23.2 |
18.5 |
18.6 |
ときどきしている |
72.4 |
72.8 |
64.9 |
69.9 |
していない |
13.3 |
4.0 |
16.6 |
11.5 |
(6) |
すべての子供が観察・実験に参加できるような配慮をしていますか。 |
|
よくしている |
80.6 |
67.7 |
50.5 |
66.7 |
ときどきしている |
19.4 |
29.3 |
34.0 |
26.9 |
していない |
0.0 |
3.0 |
15.5 |
6.4 |
(7) |
観察・実験の後に話合いの場を設定し,実際に話合いをさせていますか。 |
|
よくしている |
57.1 |
42.4 |
6.2 |
35.4 |
ときどきしている |
42.9 |
53.6 |
45.4 |
47.6 |
していない |
0.0 |
4.0 |
48.4 |
17.0 |
(8) |
子供たちの意見を尊重したまとめ方をしていますか。 |
|
よくしている |
53.1 |
52.5 |
16.5 |
41.5 |
ときどきしている |
44.9 |
45.5 |
40.2 |
43.2 |
していない |
2.0 |
2.0 |
43.3 |
15.3 |
(9) |
観察・実験の後,レポートやノートなどで子供の活動を評価していますか。 |
|
よくしている |
50.0 |
70.7 |
52.6 |
57.5 |
ときどきしている |
45.9 |
28.3 |
39.2 |
38.1 |
していない |
4.1 |
1.0 |
8.3 |
4.4 |
|
|