【授業研究3】 高等学校第1学年「自然数の列」
1.授業の構想(1) | 授業に当たって
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(2) | 授業の展開
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(3) | 授業の考察 授業終了後,生徒38人に対して,アンケート調査を行った。 生徒が自ら考え,不思議さや驚きを感じることで,考える喜びを味わえることを目指した授業であり,全員がグループ内で協力し合いながら,課題を解決していくものと期待したのであるが,資料9によれば最初の課題は1グループが,二つ目の課題は2グループが結果を求められなかったようである。うまく考えを進められないでいた生徒に対する,細やかな配慮が必要であった。最初の課題では,全部のグループがすぐに組み合わせ始め,出張った部分をどうしたらよいか考えていた。結果を求められなかったグループは,出張った部分の処理がうまくいかなかったようなので直方体に組むことができるよう,立方体を6個与えるなどの工夫もできたのではないかと思われる。二つ目の課題は高度ではあるが,数学の美しさを感じるとともに,「1からnまでの和」と「1からnまでの3乗の和」の関係をよく理解できるものであるだけに,すべての生徒が,もう少し時間をかけてじっくりと取り組めるような工夫が必要であった。また,グループAのように「何をやっていいのか分からない。」ということがないような,課題についての,分かりやすい丁寧な説明の必要があった。しかし,資料10によれば,ほとんどの生徒が興味・関心をもって課題に取り組み,この授業のテーマである「考える楽しさを味わう」ことができたと答えている。授業中は全員が積極的に課題に取り組み,問題解決のための活発な話合いが行われた。そして,解決できたときには,心から喜んでいる姿が見られた。また,数学のよさとして「喜びや楽しさがある。」を挙げた生徒が最も多く,「美しさや驚きがある。」と合わせると,23人(実人数)となった。理由としては,生徒が主体となって問題解決する中で,解けたことで喜びを味わうことができたこと,全く別の見方や考え方から数列の和の公式を導けたこと,そして,それらが目に見える四角数の和で表され,きれいに並べたり組み合わせたりできたこと,などが考えられる。立体の組み合わせについても,授業終了後,「出張った部分が{n(n+1)}/2だから,2乗の和の公式はすぐに分かる。」とか,「6個のほうが出張った部分がなく分かりやすかった。」といった,美しさにつながる感想が聞かれた。さらに,「筋道を立てて考えられる。」という数学の見方や考え方のよさを挙げた生徒も3分の1に達して,「数列の和の公式に対し,親しみが湧いた。納得した。」などの感想も多かった。今回の授業を通して,数学の実用面だけではなく,考えることの楽しさや数学そのもののもつよさを感じさせることができたのではないかと思う。
資料9 課度の解決状況(38人)
資料10 授業について(38人)
資料11 「四角数の並べ方」の例 立体を組み合わせている様子 |
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