2.研究の内容

(1)

研究主題についての基本的な考え方

 小学校社会指導資料「新しい学力観に立つ社会科の学習指導の創造」の中では,「子供自らが問題を見つけ追究できるようにするためには,子供が社会的事象を自分自身や自分の生活とのかかわりから調べ,さまざまな疑問や問題意識をもって,それらの背景や理由,特色,様子など,社会的事象の意味を明らかにしようとする追究のエネルギーを醸成することが大切である」と述べている。
 社会的事象の意味を明らかにしようとするエネルギーを醸成するためには,児童生徒が具体的な活動や体験的な活動を通して,五感を働かせながら社会的事象と出会い,社会的事象と自分とのかかわりを深められるようにすることが大切である。また,子供が問題解決の方法や内容,手順などを自分なりに考え,問題追究をしていく中で,自分なりに社会的事象の持つ意味や価値をとらえていけるようにしていくことが必要である。自分なりの解決方法によって追究し,自分なりに納得できるあるいは実感として分かるという満足感や成就感が次の追究へ向けてのエネルギーになり,問い続ける子供の姿になっていくと考える。
 そこで,本研究主題「自分とのかかわりを通して,問題意識を高め,問い続ける」子供の姿を,「子供が具体的な活動や体験的な活動を通して社会的事象と出会う中で,社会的事象と直接的にかかわり,自分の問題を発見し,自分なりに解決方法を考え,納得いくまで追究し続けること」ととらえた。

(2)

研究主題に迫るための手だて

 問題意識を高め,子供が問い続ける学習の場の構成
 問題意識を高め,問い続けるために,次のような学習の場を構成し,指導計画や学習過程を構成し,子供の学習状況に応じて柔軟に対応できるようにした。
(ア)  体験的な活動を通して,社会的事象と出会い,自分とのかかわりを深め,子供が内面から問いや願いをもつ。
(イ)  自分の問題の解決に向けて自分なりに方法を考え,解決の見通しをもって追究する。
(ウ)  子供同士のかかわり合う場の中で,自分の考えやイメージを問い直し,自分の考えを深める。
(エ)  自分で調べた結果や考えたことを表現する。
(オ)  自分の学習の方法や学習した内容を振り返り,新たな自分の問題を明確にする。
 感性を触発し,問題意識を高める手だて
 社会的事象との出会いの中で,子供が自分とのかかわりを通して,自分なりの問いがもてるようにしたい。そのためには,社会的事象との出会いの中で,できるだけ体験的な活動や作業的活動を取り入れ,五感を通して直接的に事象とかかわり合えるようにする。また,社会的事象に対する今までの自分のイメージが覆されたり,深められたりすることによって,内面から問いを発し,切実性のある問題がとらえられるように資料や活動の内容を吟味し,資料提示の方法や活動の場を工夫する。
 子供同士がかかわり合って学習する場の工夫
 問題解決の過程で,子供同士がかかわり合う場を設定することによって,子供一人一人の見方や考え方のよさを自分の中に組み入れることができるようにする。調べた結果や考えを子供相互にやりとりすることによって,自分の考えを問い直し,社会的事象に対する自分なりのイメージや考えを深め,新たな問題が明確にとらえられるようにする。

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