はじめに
第15期中央教育審議会は,平成8年7月に「21世紀を展望した裁が国の教育の在り方につ
いて」の第一次答申を行いました。答申では,「ゆとり」の中で,子供たちに「生きる力」を
はぐくむということを基本に,学校の教育内容を厳選するとともに,家庭や地域社会おける
教育の充実を図ることか必要であるとの考えに立ち,様々な提言をしました。
提言の「これからの学校教育の在り方」では,「これからの学校は,[生きる力」を育成す
るという基本的な観点を重視した学校に変わっている必要がある。」と言っています。「生きる
力」の育成を基本として,知識習得に偏りがちてあった教育から,子供たちが自ら学び,自ら
考える教育への転換を目指し,知・徳・体のバランスのとれた教育を展開し,豊かな人間性と
たくましい体をはぐくむことが重要になります。
子供たちがスボーツ活動を通じて,「体」の面たけでなく,社会的な規範を守る精神や思い
やりの心などをはぐくむことは,子供たちが知・徳・体のバランスのとれた成長をしていく上
て.極めて有効になります。特に,これからの健康の保待増進や体力の向上に関する指導に
際しては,子供たちが健康の保持増進や体力の向上の必要性を十分理解した上で,自らの健
康を保持増進する能力や,興味・関心や適性等に応じ,適切に運動することができる能力をあ
らゆる教育活動を通して育てていくことか大切になります。
本県では,昭和42年から継続して「児童生徒の体力・運動能力調査」を小学校5年生以上
の全児童生徒に実施して参りましたが,平成4年度からは調査方法を抽出した児童童生徒に切り
替えて結果を出しております。体力の向上を図るためには,小学校の低学年から自分の体力
に関心を持ち,自ら進んで進んで運動に親しみ,各種の運動の楽しさや喜びを味わうことができる
児童を育成することが大切になります。そこで,今年度から調査対象者に公立小学校の低・中
学年を新たに加えて実施いたしました。
文部省は、干成7年度の「体力・運動能力調査」結果をまとめたところ,低下傾向が進む中,
10代の[青少年は大半の項目で10年間の最低値となり,小学校兄童もほとんどの学年て各種目
とも最低記録でありました。木県の児童生徒においても,「走・投・跳]の基本運動能力の低
下傾向が気になるところであります。
健康の保持増進や体力の向上は,即時的に達成でさるものではありません。各学校において
はこの調査報告書を基礎資料として幅広く活用され,各学校における問題や課題等を見いだ
し,子供達の健康の保持増進と体力の向上に,より一層のご尽力をお願いする次第でありま
す。
最後になりましたが,この調査にご協力いただきました各学校の諸先生方及び各関係機関に
対し,厚く御礼申し上げます。
平成9年3月
茨城県教育研修センター所長
増田 一也