刊行にあたって


 障害のある幼児児童生徒の社会参加・自立をめざすには自らのよさや可椎件を生かしな がら,もっている力を十分に発揮できるようにすることが重要であり,そのためには障害 の状態などに応じた適切な教育をより一層進める必要があると言われています。そして, このことは,現行の学習指導要領の改訂の基本方針の中にも児童生徒の心身の障害の状 態に応じた指導の一層の充実を図ること、として掲げられており,この教育の重要な課 題であると言えます。

 ところで,中央教育審議会の第一次答申(平成8年7月)を踏まえて,文部大臣は教育 課程審議会に幼椎園,小学校,中学校,高等学校,盲学校,聾学校及び養護学校の教育課 程の基準の改善について,諮問をしました。その際,一人一人の幼児児童生徒に[生きる カ」を育成するための教育内容の在り方について検討する5つの観点が次のように示され ました。それは,(1)自ら学び,自ら考える力などをはぐくみ,創造性を育てること。(2) 一人一人の個性を生かし,豊かな人間性を育てること。(3)基礎・基本の指導の徹底を図 ること。(4)社会の変化に適切に対応すること。(5)各学校段階を通じて調和と続一を図 ること。ということであります。

 さらに,特殊教育諸学校に関しては,幼稚部から高等部までの一貫した教育内容につ いて,障害のある幼児児童生徒の社会参加・自立を一層推進する観点からの検討が必要 であるとされ,先に述べたこの教育の重要な課題が今後も引き継がれていることが分かり ます。

 そこで,本研究はこのような重要性を踏まえて,平成7年度から2か年にわたり「個に 応じた指導方法に関する研究を進めてきました。そして,本研究報告書は,個に応じた 指導の在り方について個別指導計画の作成という観点から実践的な研究に取り祖み,その 成果をまとめたものです。この研究成果が,各学校におげる個に応じた指導の一層の改善・ 充実に役立てば幸いです。

 最後に,本研究を進めるにあたり,実態調査に御協力いただきましだ関係学校及び研究 協力員の先生方に対しまして,心から感謝申し上げます。

平成9年3月
茨城県教育研修センター所長
増田 一也


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