ねらい |
集団の中で自己表現ができることをねらいとし,こだわりなく感情表出ができる雰囲気をつくり,個々を高め,充足感を味わわせる。ブレイン・ストーミングを通して自己存在感や他者理解の大切さについて考え,「思いやり」「信頼」の大切さを理解させ,身に付けさせる。 |
時 間 |
学級活動(50分) |
準 備 |
新聞紙,椅子など教室にある身近なもの 記録用紙(自分の考えや話合いの記録をする) 振り返り表 |
進め方 |
@ |
ウォーミングアップでリレーションづくりを行う。自由歩行やこの指とまれなどを実施し,新しいグループづくりを行う。 |
A |
目的の人数にグループをつくらせ,本時で使用する品物を提示して次のように話をする。
「さて,今から共同作業をします。人間というものは共同作業を通して親しくなるものです。一緒にサッカーをするとか,遊びに出かけるとか。
今から共同作業をしますが,それがこの○人組をどのように結束させるか,○人同士のリレーションがどのように高められていくのかをよく味わってください。それが目的です。
ところでテーマは.(椅子を使用する場合)今皆さんが座っている椅子には座ること以外にどんな利用法があるか,それを思いっく限り列挙してください。たくさん列挙したグループが勝ちです。他のグループに聞こえないように小さな声で言いあってください。時間は5分です。」 |
B |
使用する品物は,部屋の中にあるものなら何でもよい。また,時間制限についても任意的である。 |
C |
グループで討議するときに「作戦会議メモ」を配布し,自分の考えを書かせ,次にループで話し合うようにさせる。 |
D |
時間が経過したとき,列挙した数を報告させ,最多数のグループに発表させる。 |
E |
エクササイズ終了後に「ブレイン・ストーミング」の振り返り用紙を配付し記入をさせる。 |
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留意事項 |
- このエクササイズを体験することにより,生徒たちが自分の行動の特徴に気付き,対人関係を向上させる契機としたい。
- エクササイズ開始前にルールは必ず守るように伝え,違反した場合には教師が注意をする。
- グループの話合いが不十分に考えられる場合には,教師の語りかけを行い,話合いを活発化させる。
- グループの話合いに入る前に,自分の考えを「作戦会議メモ」に記入させ,その後に,グループの話合いに入るようにさせる。
- 本時では,話合いのときに特定の生徒が否定的に見られることはなかったが,見られている場合には,その生徒の気持ちもよく聞いて話し合うようにアドバイスをする。
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子どもの反応 |
- ブレイン・ストーミングの「フィードバック表」の結果
グループの作戦会議のときに,@どのくらい,自分の意見や考えを言うことができたかでは,「すこしできた」「たいへんによくできた」が78%であった。大部分の生徒が話し合いに参加できていたものと思われる。しかし,「ぜんぜんできなかった」「すこしできなかった」の生徒が15%いることから十分に自分を出し切っていない生徒も見られる。Aどのくらい,他のメンバーの意見や考えを聞くことができたかでは,「すこしできた」「たいへんによくできた」の生徒が96%である。Bどのくらい,他のメンバーに自分の意見や考えを聞いてもらえたかでは,「すこし聞いてもらえた」「たいへんによく聞いてもらえた」が84%である。この結果,AとBから他者を受け入れる下地はできていると考えられる。
また,話し合いの中では,自分を含めたメンバー全員が進んで話し合いに参加をしていることがわかった。
- 自分の考えをまとめたので,グループでの話し合いのときに意見をたくさん出すことができた。
- 自分には思いつかないような考えを言う人にはびっくりした。
- 自分の考えを聞いてもらえたのでうれしかった。
- 考えがあまり思い浮かばなかったので,話し合いに参加できなかった。
- みんなが進んで自分の意見を言ったからすぐにまとまった。
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成 果 |
- グループでの話し合いのときに,自分の考えを言うことができた,他のメンバーの意見や考えを聞くことができたかという開いに対しては,大部分の「たいへんよくできた」「すこしできた」と答えている。グループの話し合いの前に「作戦会議メモ」で自分の考えをまとめる時間を設けたのがよかった。
- 自分の態度に気付くためには,集団の中で自分がどのような態度をとっているかについてフィードバックさせることが必要であり,ここでの「ふりかえり用紙」では,課題解決中の友達や自分の態度も実際に名前を書いてまとめさせた。その結果,肯定的な態度の生徒の名前が多くあがり,否定的な態度の生徒の名前はあがらなかった。
- 一人一人が,自分がこれまで集団の中でどのような態度をとることが多かったのかを,静かに振り返りながら終わることができた。
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