ねらい |
特定の役割を演じたり,役割を交代して演ずることにより,他人の立場を理解するとと
もに,仲間との相互理解・信頼関係を深め,望ましい人間関係の改善を図る。
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時 間 |
学級活動(25分)
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準 備 |
ロールプレイングに使う机や椅子など |
進め方 |
【場面1】「朝の健康観察」 |
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代表グループが朝の健康観察の場面を演ずる。他のグループは観衆となる。 |
A |
日直役Aは,友達の名前を呼びつけにしたり,あだ名で呼ぶ。 |
B |
日直役Bは,君やさんをつけて名前を呼び,役を演ずる。 |
C |
呼ばれたときの生徒の感想,観衆の感想を話し合う。 |
【場面2】「学校でのいろいろな場面」 |
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グループごとに,学校での生活場面(清掃,給食,休み時間など)から演ずる場面を決め,自由に演ずる。 |
A |
教師のところに相談に来た生徒に対して,「忙しいので後で。」と追い返す教師,仕事をしながら相手のことを見ずに聞く教師,しっかり体を向けて顔を見ながら聞く教師を演ずる。 |
B |
2グループが一組となり,自分たちで選んだ場面を演じ互いに見合う。 |
C |
名前の呼び方を変えて演ずる。 |
D |
感想を話し合う。 |
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留意事項 |
- 静かな雰囲気の中で演じさせるようにする。
- 仲良しグループで行動するのではなく,偶然出会った仲間とグルーピングをするようにさせる。グルーピングのときは男女関係なく,誰とでも素早く組むよう指示する。
- 演じたときの気持ち,観衆として見ていた人の気持ちを取り上げ,フィードバックさせる。演習後の感想発表では,フィードバックに対して一切評価せず,どんな内容であっても大切に受容する。
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子どもの反応 |
(『朝の健康観察』の感想から)
- すこし照れ臭かったけど,役になりきろうと努力した。
- わざときつく呼びつけにしたりして名前を読んでみたけれど,何となく冷たい感じがした。自分で呼んでいてそう思うのだから,呼ばれているほうはもっと強く感じていると思う。
- ていねいに名前を呼ぶと,だれに対しても平等のような感じがした。
- 普段は何気なく,呼びつけや愛称で呼んでしまっているが,ていねいに「〜君」,「〜さん」と呼んだはうがずっとやさしい感じがした。本当に仲のよい友達なら愛称でもいいかもしれないが,呼ばれる相手の気持ちになってみれば,ていねいに呼ばれた方が気持ちいいと思う。
- これからは相手を呼ぶときにもできるだけていねいに呼ぶようにしたいと思う。
(『学校でのいろいろな場面』の感想から)
- 見られているので,最初は変に意識してしまったけれど,できるだけその場面に応じて演技をやってやろうと考えて必死にやった。相手の役もまじめにやってくれたのでよかった。
- 笑ってばかりでまじめにやってくれない人もいた。
- 普段の何気ない場面であるが,意識して演じてみると結構大変であった。でも,呼び方や話し方で雰囲気が変わるのだということがわかった。これからは相手の気持ちを考えて生活したい。
- 先生に相談に行く役をやったが,あっさり断られたのでむかついた。悩みがあるから行ったのに邪魔扱いされるなら,もう絶対に行かないと思った。
- しっかりこちらを向いて話を聞いてくれると,何か自分のことを思っていてくれるのかなあとうれしく思えた。自分でも友達に話しかけられたときは,ちゃんと顔を向けて聞こうと思った。
- おもしろかった。いろいろな役をやってみて,言葉一つ態度一つを取ってみても感じ方や雰囲気が変わるのだなと思った。
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成 果 |
- 使う道具も机や椅子など,教室にあるものを使ってできるので,どこでも簡単にできるエクササイズであるので,いろいろな機会に活用できる。特に,学校生活の何気ない場面を取り上げているので,グループ毎に場面を設定して演ずることができる。ただし,いきなり自由にやれと言われても,場面を設定するのに時間がかかってしまうので,学級の実態に応じて教師側でいくつかの場面をしばって設定しておいたはうがよい。
- 最初は仲良しグループの組があったので,男女で組んでいるグループを意識的に紹介し,男女関係なく組むように指示したところ,自由にグループ分けする雰囲気が見られるようになった。このことにより,仲良しグループの解体,偶然的な仲間との出会いが自然に体験できた。
- 役になりきろうとして普段の授業の中では見られないような生き生きした表情が見られた。最初は人目を気にしていたが,だれもが必ず演じるということで段々リラックスしていき,自由に活動できた満足感や充実感が一人一人の子どもの表情に表れていた。
- 普段は何気なく生活している場面でも,言葉や態度で感じ方が変わるんだなということを体で体験できた。
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