3 友達のことをたくさん知る   中学生向け

目かくし歩き


ねらい  目かくしをした相手の手となり,足となる体験をすることによって,人間関係の基本となる信頼感をからだで感じ,気付かせる。また,ペアになった相手との信頼について考え させ,学級集団の中の子ども同士の信頼関係を高めていく。
時 間 学級活動か道徳(50分)
準 備 日本手ぬぐい(タオルまたはアイマスクでもよい)各自1本(子ども)
目かくし歩きをするコースの地図,フィーバック表(教師)
進め方
  1. 友達に信頼されたり,友達を信頼した経験を振り返り,信頼感について話し合う。
  2. 2人組を作る。
  3. 「目かくし歩き」のねらいと方法を説明する。特に,安全についての注意を説明する。

    (「目かくし歩き」のきまり)
    案内される人は,必ず目を閉じてください。
    案内する人もされる人も,しゃべってはいけません。
    歩くだけで,走ったりしません。
    早さの競争ではありませんので,ゆっくりと落ち着いて案内しましょう。
    目を開けてしまった時はその場で立ち止まり,再び目を閉じてからゆっくり歩いてください。
    約15分で教室にもどり,交替します。
        

  4. 指定された校内のコースも 目を閉じた相手を誘導して歩く。
  5. 帰ってきたら.感想を発表する。
  6. 交替して別のコースで実施する。
  7. 二人でお互いに感じたことを自由に話し合う。
  8. フィードバック表に記入し,全体で感想を発表する。
留意事項
  • 2人組は,『歩行者天国』などの演習で組んだ偶然の相手で作る。
  • 男女についても2人組を組むようにさせる。
  • 相手にどんな手助けをしたら安心感を与えることができるかをよく考えさせる。
  • コースは校舎の中で変化に富んだ場所がよい。その際,階段は一番大事なポイントになる場所なので,必ずコース中に設定するとよい。
  • 腕・肩・腰などを適して,相手に無言で合図することを事前に説明する。
  • 学級に落ち着きのない子どもや乱暴な子どもがいる場合は,教師が階段など危険を伴う場所に立って見守る。
  • 目かくしで歩いているときの気持ち,案内しているときの気持ちをフィードバックさせる
子どもの反応 (「フィードバック表」の結果から)
あなたは,自分が目を閉じて相手の人に案内してもらっていた時,どれくらいリラックスして安心していることができましたか。

大変に安心だった 20.8%
少し安心だった 48.3%
どちらとも言えない 10.3%
少し不安だった 17.2%
大変に不安だった 3.4%
目を閉じている相手を案内している時に,あなたが感じたことを書いてください。

  「その人のことをカバーし,守ってあげたいという気持ちだった。」
  「相手がころんだり,不安にならないよう気をつけていた。」
  「腕と肩をしっかりつかんであげれば,不安にならずスムーズに行けるだろう。」
  「なるべく階段のときには気をつける。」
  「安全に目を閉じている人を案内するのはとても大変だった。階段などがあるとき,口で伝えられないのが不便だった。」
  「大変だったけれども,相手がリラックスしていたのでやりやすかった。」
  「本当に目が見えない人の世話をしている人の気持ちが分かった。それは言葉ではなく,心と心のつながりだと思った。」
自分が目を閉じて案内されている時に,あなたが感じたことを書いてください。

  「少し不安があったけれど,案内してくれる人がとても親切にしてくれたので,安心してその人を信頼できた。」
  「階段があるところで腕をぎゅっとつかんでくれたのでよかったが、少し不安だった。」
  「相手は幼なじみだったから,とても安心できた。」
  「とても安心できて,自分では何も考えず友達に案内してもらうことができた。」
  「目を閉じていた時に,相手にまかせて大丈夫かなとか,目の不自由な人もこんな気持ちなのかなあとか考えていた。」
「目かくし歩き」をしてみて,いっしょにペアを組んで案内したり,されたりした相手の人に対するあなたの感じは変わりましたか。
                 
変わった 17.2%
少し変った 65.6%
変わらない 17.2%
「少し変わった」と「変わった」を選んだ人は,どんなふうに相手の人に対する感じが変ったかを書いてください。

  「その人に信頼をもてるようになった。ますます仲良くなれた。」
  「相手の人(異性)とは前からそんなに親しくなくて,最初はこの人で大丈夫だろうかと思っていたけれど,やっているうちにすごく安心してきた。」
  「普段ふざけていても,こういう時になると真面目になってくれることが分かった。」
  「いつもはこんな体験をすることはないので,どれだけ相手に対して信頼しているのかが分かった。」
  「相手を信頼することによって、今までより身近に感じることができた。」
  「人(友達・親友)をもっと信頼しなければならないと思った。」
  • 自分が案内されている時には,「不安だった」「緊張した」「こわかった」というように,不安や恐怖などの気持ちの動揺を訴えているが,その中からこのような自分を相手にまかせる信頼感を感じ取っているようである。
  • ペアを組んだ相手の人に対する感じの変化した子どもは,「変わった」と「少し変わった」を合わせると82.8%にものぼっている。この子どもたちは,相手に対する気持ちが肯定的に変化しており,ペアを組んだ相手に対する信頼感は高まっている。このような気持ちの変化を学級全体に広めていくことが大切である。
成 果
  • 予想以上に反響が大きく,真剣に取り組んでいたのが印象的であった。めったにない貴重な経験なので,子どもたちも目的意識を持って取り組んでいたようである。案内したり、案内されたりすることによって相手に対する思いやりの心や相手を信頼して自分を預ける素直な心を学び取ってくれたようである。
  • この演習だけで子どもの信頼関係を高めることは難しいとは思われるが,学級生活のいろいろな場面で集団の信頼感を見つめ直す契機になると思われる。

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