序
今日の社会は,交通機関の発達や労働の省カ化にともない,運動不足に陥りやすい状
況にあります。本来子どもは,自然に運動をすることにより,骨格や筋肉を成長させ,
「体力」や「運動能力」を向上させてきました。換言すれぱ,動くこと自体が自然であ
る子どもにとって,運動は手段ではなく目的であったといえます。杜会の変化は,自然
のなかで丈夫に育つ,健康になる,体力がつくといった本来在るぺき子どもの姿に,ど
のような影響を与えているのでしょうか。
本県の,児童・生徒の体カ・運動能力に関する調査報告書では,児童・生徒の「体カ」
や「運動能力」は年々低下傾向にあります。なかでも,健康の支えとなる持久カや柔軟
性の低下が指摘されているところです。平成6年度の同調査によれぱ,本県高等学校生
徒の運動能カテストの乎均値は,男女とも,全種目で全国の平均値よりも下回っていま
す。低下傾向にある「体カ」や「運動能カ」の向上は,本県教育の重要な課題だといえ
るでしょう。
こうした課題に対して,児童・生徒が健康であるためには,未来のきぴしい社会へ主
体的に対応して行く能力の育成が求められています。さらに,自らが生活の習慣や様式
を変容させ,適応して行く能カを育てることが必要となってきます。児童・生徒に,自
分の健康に対する自覚を持たせたいものです。
そこで,本研究では,乎成6年度から平成7年度の2か年にわたり,「主体的に,持
久力を高める体育指導の在り方」を研究主題として,高等学校の保健体育科における体
育指導の在り方を究明すぺく,研究を進めてまいりました。本研究報告書は,各学校で
の学習指導の改善・充実の指針となるようにとの観点からまとめたものです。実際の指
導に際しましては,生徒の実態に合わせた活用を願います。
最後に,本研究を進めるにあたり,御指導を腸りました講師の先生や,研究に御協力
いただきました関係高等学校及ぴ研究協力員の先生方に,心から感謝の意を表します。
平成8年3月
茨城県教育研修センター所長
高久清吉