第3章 情報活用能力を育成する理科学習指導とその評価
1 理科学習指導における評価の観点
平成元年に改訂された理科学習指導要領の趣旨及びこれを踏まえた理科の目標分析に基づいて,理科における評価の観点が次のように設定されている。
(1) |
中学校理科における評価の観点
観 点 |
趣 旨 |
自然事象への関心・意欲・態度 |
自然の事物・現象に関心をもち,意欲的にそれらを調べるとともに,事象を人間生活とのかかわりでみようとする。 |
科学的な思考 |
観察や実験などを通して,自然の事物・現象の中に問題を見いだし,事象を実証的,論理的に考えたり,分析的,総合的に考察したりして問題を解決する。 |
観察・実験の技能・表現 |
観察,実験の基本操作を習得するとともに,自然の事物・現象を科学的に調べる方法を身に付け,そららの過程や結果を的確に表現する。 |
自然事象についての知識・理解 |
自然の事物・現象について,基本的な概念や原理・法則を理解し,知識を身に付けている。 |
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(2) |
高等学校理科の評価の観点
観 点 |
趣 旨 |
関心・意欲・態度 |
自然の事物・現象に関心をもち,意欲的にそれらを探究するとともに,科学的態度を身に付けている。 |
思考・判断 |
観察や実験などを通して,自然の事物・現象の中に問題を見いだし,事象を実証的,論理的に考えたり,分析的,総合的に考察したりするとともに,事実に基づいて科学的に判断する。 |
観察・実験の技能・表現 |
観察,実験の技能を習得するとともに,自然の事物・現象を科学的に探究する方法を身に付け,それらの過程や結果を的確に表現する。 |
知識・理解 |
観察実験などを通して自然の事物・現象についての基本的な概念や原理・法則を理解し,知識を身に付けている。 |
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2 情報活用能力を育成する学習指導を構想するための視点
学習指導を構想するに当たっては,情報教育の目標及び内容を踏まえ,情報活用能力からみた児童生徒の実態や教材の意味などを考慮しながら,単元全体を見通した単元目標を設定する必要がある。
情報活用能力の内容は,第1章の1にその四つの内容を示したが,学習指導を構想する際には,その中の@が最も深く学習活動に関連することになる。そこで,@を学習指導における五つの視点に分けて,これらの視点の趣旨を次のとおりとした。
観 点 |
趣 旨 |
@ 情報の判断 |
収集した情報が適切で,学習活動に必要であるとか有用であると認めることができる。
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A 情報の選択 |
入手した複数の情報の中から,適切なものを見いだしたり,学習活動の目的に合うものを選ぶことができる。 |
B 情報の整理 |
複数の情報をある規則にしたがって並べ替えたり,他の目的などに利用できるように準備しておくことができる。 |
C 情報の処理 |
情報をある規則にしたがって加工したりして,他の場面で利用できるようにすることができる。 |
D 情報の創造,伝達 |
自らの価値観に基づいて,様々な知識や情報を分析,総合して,固有の情報をつくり出すことができる。また,保持している情報を他人に正確に伝えたり,表現することができる。 |
これら五つの視点を学習指導の構想の中に反映させることによって,情報活用能力を効果的に育成できるものと考える。
第4章では,これらの視点を理科学習指導の評価の中に埋め込み,授業の具体的な場面でどのような情報活用能力を育成するかを明示して,新しい学力観に立つ学習指導での情報活用能力の育成を目指した授業実践例を示す。