Tはじめに

「学ほうとする力を育てる学習指導」という共通研究主題のもと,国語科においては,「見通しをもって読み解く国語科指導法」と研究主題を定めた。平成元年に告示きれた小学校,中学校及び高等学校の学習指導要領において,「自ら学ぶ意欲」や「社会の変化に主体的に対応できる能力」が重視されるようになった。国語科では,児童生徒一人一人が,進んで教材とかかわり,自ら考えたり判断したり表現したりする学習活動を通して,言葉による表現力や理解力を身に付けるようにすることが望まれている。学習指導要領に示された国語科における学習指導の根幹は,国語を正確に理解する能力の育成と,国語を適切に表現する能力を育成することである。これらを受けて,文字言語による理解力では,文章の叙述に即して正しく内容を読み取る能力を高めることを重点としている。指導にあたっては,児童生徒が生き生きと言語活動を営む過程で,基礎的・基本的な事項が定着するような指導過程を編成したり,創意工夫のある指導方法の研究を進めることが必要である。

国語科においては,「読み」の指導に多くの時間が割かれる傾向にある。しかし,「読み」の学習は,教師の発問によって授業が進み,教師の解釈による読み取りにまとめてしまうような教師主導の授業に陥りがちであった。そこで,「読み」の指導の中で,児童生徒の興味・関心を生かしながら学習する場を組織することによって,自ら学ぶ意欲と主体的な学習態度を育てたいと考えた。

U研究のねらい

「読み」の指導において,児童生徒のもつ興味・関心をもとに,「読み」の見通しを立て,その見通しにそって,児童生徒が主体的に物語や小説を読み解く指導法について究明する。


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