○フリーソフトを使った実践例2(中学2年数学「1次関数」)
 
1 学年・教科・単元名 中学校2年・数学・1次関数
 
2 本時の目標
 シミュレーション教材を操作することにより,動く点によって作られる図形の面積がどのように変化するかを知り,伴って変わる2つの数量の関係を表や式,グラフに表すことができる。
 
3 授業のねらいに対するソフトウェア活用の位置付け
 フリーソフトを使って作成した自作学習教材(シミュレーション教材)を,次のような場面で活用していくことで,関数関係を見い出し表現する力を育てることができると考える。
・授業の導入の場面 ・シミュレーション教材を課題提示に活用することで,課題を明確につかめるようにする。
・自力解決の場面 ・生徒がシミュレーション教材を操作して,関数関係を調べて気付いたことをワークシートに記入する。また,既習事項が定着していない生徒のために,これまでの学習を振り返ることのできるシミュレーション教材を準備し,随時確認できるようにする。
・比較検討,まとめの場面 ・ワークシートに記入したことを基にして,シミュレーション教材を操作しながら,自分の考えを分かりやすく説明できるようにする。
 
4 使用するソフトウェア
  ・自作ソフト ・一次関数「動点の問題」を解くためのシミュレーション教材
 
5 資料・準備
   ・シミュレーション教材  ・パソコン  ・ワークシート  ・電子黒板
 
6 展開 (・配慮事項,◎個に対する手立て,○評価)
 
学 習 活 動 ・ 内 容 活 動 へ の 配 慮 ・ 支 援
1 本時の学習課題を知る。
 次の図のような∠C=90°の直角三角形ABCがある。点Pが△ABCの辺上を点Bから点Cまで動く。
点Pが点Bからx cm動いたときの△ABPの面積をycm2として,△ABPの面積の変化を調べよう。

2 点の動く様子を観察し,気付いたことをワークシートに記入する。
 ・辺BC上では面積が増加する。
 ・辺CA上では面積が減少する。

3 2つの場合に分けて,xとyの関係を表や式,グラフに表したり,友達と相談して考える。

(1)点Pが辺BC上にあるときの三角形の面積について調べる。
 @表に表す。
 A式に表す。

(2)点Pが辺CA上にあるときの三角形の面積について調べる。
 @表に表す。
 A式に表す。

(3)x,yの関係を式に表す。
    (左の写真をクリックすると動画が見られます。動画:5.7MB)

4 グループごとに調べたことを発表する。

5 本時のまとめをする。
 ・ワークシートを使って,本時の学習を振り返る。




・面積の変化をとらえられるようなシミュレーション教材を用意する。


・シミュレーション教材を自由に操作させ,何が変化するかについて気付かせる。

・解決の見通しについて確認する。

・4人程度のグループで活動するよう指示する。

○1次関数を用いて問題を解決しようとしているか。
(観察,関心・意欲・態度)

◎これまでに学習したことの確認や振り返りは,パソコン画面のヒントコーナーを利用するように助言する。

・気付いたことや分かったこと,相談したことなどをワークシートに記入するよう助言する。

・点Pが辺BC上にあるときと辺CA上にあるときでは,xとyの関係を表す式が違うこと,それはxの変域によって変わることに気付かせる。

・話合いや課題解決の進んでいないグループを中心に机間指導し,見通しをもち意見交換ができるように助言する。

◎解決の見通しが立たない生徒には,三角形の面積の公式を使ってxとyの関係を式に表すように助言する。

・ワークシートを電子黒板を電子黒板に映したり,シミュレーション教材を操作したりしながら発表するように助言する。

・内容を整理し,分かりやすく発表するように助言する。

○変域に気を付けて,x,yの関係を表,式,グラフに表すことができたか。(観察,ワークシート,表現・処理)

・書くポイントを提示し,ワークシートに記入させる。
 
7 授業を終えて
  自作教材を使って授業を行った。自作した学習教材をブラウザ上でマウスのみで操作するようにしたことで,ほとんどの生徒がスムーズに操作し,必要としている情報を入手することができた。教材の操作の仕方を確認するために,導入場面では教師が操作して見せた。その後,課題を選択させグループごとに教材を操作しながら活動させた。
  課題解決の中で既習事項の確認にヒントコーナーを利用した生徒も見られた。また,関数関係の説明に表,式,グラフだけでなく,シミュレーション画面を使って行った生徒が36人中18人いた。