まとめ
   「個に応じた学習指導の工夫改善」という統一テーマのもと,家庭及び技術・家庭では「生活に生かす力をはぐくむ問題解決的な学習における指導の在り方」という研究主題を設定し,実践的な研究に取り組んできた。
 実態調査の結果を踏まえ,問題解決的な学習の学習過程において生活に生かす力をはぐくむ視点を設け,その視点を考慮して,それぞれの手だてを講じ,授業研究を行った。
 まず,どの校種においても子どもの実態を踏まえ,学習の適時性やねらいを考慮するとともに子どもが自分の生活に結びつけて主体的な学習ができるよう,生活との関連を図った「題材構成の工夫」を行った。それぞれの授業では,子どもが生活からとらえた問題を課題として設定し,その課題を熱心に追究し,追究の楽しさや充実感を味わう姿が見られた。生活との関連を図った題材構成は,学んだことがすぐ生活に生かせる内容であり,これは生活に生かそうとする態度の育成につながることが分かった。
 生活を見つめ,問題をとらえるために,「家庭での観察やアンケート調査」などの実施,「実践的・体験的な活動」などを行った。また,とらえた問題を生活に生かせるような課題として設定するために,「シミュレーション」,「ディベート的な手法」,「KJ法」などの手だてで,「十分な時間」をかけ「スモールステップ」で課題を設定した。課題設定は,実態調査の結果から,教師も子どもも難しいと感じている段階なので,それぞれの手だてを講じ,スモールステップでじっくりと課題を設定したことで最後の段階まで意欲が持続し,一人一人の主体的な学習につながることが分かった。
 解決方法を生活と結びつけて計画・立案するために,「試行体験」の場の設定や見通しのもてるような「学習カード」を活用した。これらの手だてを講じることで自分の生活を振り返りながら計画を立てることができ,その後の活動で自分の家庭を振り返ったり,関連させながら学ぶことができ,生活での実践意欲の高まりが見られた。
 生活との関連を考えた課題の追究となるよう,課題追究した内容を「試す」ステップを設けた。「試す」ステップを設けることで,実感の伴った学びとなり,学びを生活に生かそうとする意欲を高めることにつながることが分かった。「ジグソー学習」の学習形態を取り入れたことで,個別の役割と責任が明確になり,子どもは目的意識を持ちながら意欲的に活動し,協力したり,情報交換したりしながら課題追究に取り組むことができた。また,それぞれの課題に応じた「教材・教具」(自作のCD-R0M資料集,インターネットの活用や学習カード,支援カードなど)を準備したことは,子ども一人一人が自由に活動し,主体的な学習を進める上で効果的であった。一人一人の課題追究へ適切な支援をするために,「TTの導入」や「GTの活用」による指導体制の工夫を行った。この手だてにより子どもが専門的な知識や技能に触れることで学習意欲が高まり,基礎的・基本的な内容の習得につながった。
 学びを生活に生かそうとする意欲を高めるために,「ブース形式」での発表や「MD法」を取り入れた「ジグソー学習」などを取り入れ,「多様な表現方法」(PCによるプレゼンテーション,実物提示,実験など)で発表し合ったので,実感の伴った学び合いとなった。
 問題解決的な学習において講じた以上のような様々な手だては,一人一人の学習活動を主体的なものにし,基礎的・基本的な内容の定着を図ることにつながった。さらに実践しようとする意欲が高まり,学んだことを生活に生かす力をはぐくむことにつながった。今後は家庭との連携の方法や実践化を図るための手だてを研究していきたい。


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