(2)  中学校における授業研究
   一年目の授業研究は,中学校第1学年「1次方程式」の単元「等式の性質」で実施した。
 授業では,生徒一人一人がすでに自分なりの数学的な見方や考え方をもって臨んでいる。生徒がそれぞれにもつ数学的な見方や考え方を生かし,学級の皆で数学を創り上げていく活動を通して,生徒自身が「学ぶ楽しさや充実感」を味わうことができると考える。そこで,本授業では,既習事項を生徒自身が自分なりに活用しながら新しい学習課題に取り組み,導き出された結果をさらに簡潔・明瞭にまとめ上げていく活動を位置付けることとした。
 また,本研究主題に迫るために,学習課題の意味が分かり自分の力で結果が出せるということ,つまり生徒自身が自分なりの考え方や解き方で結果を得るということに視点を置き授業を構成する。さらに,導き出した自分自身の考え方や解き方を見つめ直したり工夫したりする場を設定することで抽象化や一般化を図り,生徒は数学のもつよさを感得し,このことも学ぶ楽しさや充実感につながるものと考えた。具体的には,生徒に学習課題をしっかり把握させた上で,生徒が等式の性質を進んで導き出し,式表示を通して一般化していくことを重視する。このように生徒が自ら数学を創り上げていく過程を生徒自身に味わわせるようにしたいと考えた。
 授業を実践した結果,生徒は既習事項を活用しながら,自分で考え解決していく過程で図や式を活用したことが有効であったことを実感し,このことは学ぶ楽しさや充実感を味わうことに通じるものであったと思う。さらに,結果を自ら問い直し式表示から一般化を図っていく活動では,数学のよさにも触れ,本研究主題に迫ることができたと考える。なお,今後の課題として,数学を創り上げていく際の様々な性質の存在に気付き,その性質を導き出していく活動を単に形式的に扱うのではなく,数学のもつ有用性を感得する活動にも十分目を向けなければならないと思った。, 生徒自身が自ら数学を創り上げていくという過程を通して生徒が学ぶ楽しさや充実感を味わうための学習活動を工夫していきたいと考える。
  資料1 授業の展開(学習指導案より一部抜粋)
   なお,二年目となる本年度の中学校における授業研究については,次のとおりである。


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