研究のまとめ
   本研究では農業・工業・商業科において,「生徒一人一人の興味・関心を生かした学習指導の在り方」という研究主題のもとに,生徒と教師に対し,生徒一人一人の興味・関心を生かした学習指導に関する実態調査を行った。その結果をもとに,授業において生徒が興味・関心をもって主体的・意欲的に授業に取り組めるように「分かりやすい授業」や「学習したことが普段の生活に生かせる授業」に努めることが大切であると考えた。また,授業を行う上では,一人一人の生徒を常に意識し,生徒同士で学び合い,問題解決をするような場面を設定した「グループ学習」や学校の実態や必要に応じて,理解度に応じた「習熟度別学習」を取り入れ,また,生徒の興味・関心のある「実習をともなう授業」を行った。さらに評価方法を工夫するなど,各教科において授業研究を実施した。
 その結果,次のことが明らかになった。
  (1)  農業では,生徒たちが将来の農業経営に対する意識を高揚させ,自ら率先して農業実習に取り組み,授業に積極的に参加することにより「勤労意欲とやる気」を育てることに重点を置いて取り組ませた。そのための手だてとして,内容がよく理解できるように「グループ学習」を取り入れ,さらに「実習をともなう授業」を展開した。授業の過程においては,ほとんどの生徒がはじめてである農業機械の操作において,一人一人の生徒に個別指導を行い,個に応じた授業展開の中で,生徒たちが生き生きとした表情で積極的に授業に参加する姿がみられた。また,「ワラ干し」等の作業を通して,生徒同士が学び合うという光景が見られ,グループ学習による協力体制が確立できた。評価については「総合実習記録簿」に「自己評価」を取り入れ,授業態度等の反省や理解できていない点を記入,提出させることにより,教師側が生徒個々の理解度を把握することができた。
  (2)  工業では,実際的・体験的な学習を通して,生徒の興味のある実習の項目を設定するとともに,生徒自身の自発的・創造的な力を養うことが大切であると考えた。そのための手だてとして,「機械実習」の授業を通して,少人数による授業展開を実践した。授業を実施するときは,生徒に興味・関心をもたせるため,コースに分けるときにガイダンスを開き,生徒の希望を聞き,コース分けを行った。また,生徒の理解を深めるため,各コースを2班に分け,きめ細かい指導ができるように工夫した。少人数のグループで実施できたことは,生徒一人一人の興味・関心を引き出すことができたばかりでなく,細かい部分における指導が可能になった。, 評価については自己評価によって生徒が自分自身を把握し,また,相互評価を取り入れることにより,生徒がお互いを客観的に見るようになり,学習態度に真剣さが増すこととなった。
  (3)  商業では,授業に対する目的意識を資格を取得することに重点を置いて,生徒一人一人に目標をもたせ,その目標を達成するために,授業展開を工夫し,個に応じた学習指導を展開することに努めた。そのための手だてとして,生徒の理解度に合わせた進度や目標の設定をするために,「会計」の理解度が同様な生徒を同じ授業クラスにするという習熟度別のクラス編成を取り,1学級を2クラスに分割した。そのことにより,理解度の近い者同士が集まり,一人一人の生徒にかかわりながら,個に応じた授業展開を推進し,理解度の向上を図ることができた。さらに,評価については自己評価を取り入れることにより,生徒が自分自身の力を的確に把握し,それによって反省をし,今後の目標を立てPlan−Do−Seeのサイクルを作っていくことにより,大きな効果があげられた。


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