• 4.研究主題に迫るための手だて
  •  児童生徒及び教師の実態調査の結果を踏まえ,「体つくり運動」(体ほぐしの運動,体力を高める運動)の指導の中で次の(1)と(2)の二つの手だてを講じることにした。
    (1)  「体ほぐしの運動」の実践
     授業の導入時に体ほぐしの運動[ほぐしT]を継続的に実践する。その際,精一杯運動できるような「律動的な動き」を取り入れたり,「仲間とのかかわりがもてるような動き」を取り入れたりすることによって,運動する楽しさを味わわせ,自ら運動しようとする意欲が高まるようにする。
     体ほぐしの運動[ほぐしT]で経験した動きに,自分の体力に応じて工夫を加えたり, あるいは自分の体力に応じた動きを選択して実践できるような場を設定し,[ほぐしU] に発展させる。
    (2)  「体つくり運動の実践(高等学校での取り組み)」
     生徒自身に体力を高める必要性を認識させ,自分の体力や生活に応じて「体ほぐしの運動」や「体力を高める運動」の行い方を工夫して,それを実践できるようにする。


  • 5.授業研究
  •  今回の授業研究では,高橋健夫氏の「形成的授業評価票」の九つの質問項目(資料1),及び「診断的・総括的授業評価票」の20の質問項目(資料2)を用いて,生徒の実態及び授業後の児童生徒の変容について,調査を実施することとした。質問については,「はい」を3, 「どちらでもない」を2,「いいえ」を1の三段階で回答を求めた。
     形成的授業評価の診断基準は,質問@〜Bを「成果」,質問C,Dを「意欲・関心」,質問E,Fを「学び方」,質問G,Hを「協力」という次元でとらえ分析を加えた。
     また,診断的・総括的授業評価の診断基準は,質問項目@〜Dを「意欲・関心」(情意目標), 質問項目E〜Iを「学び方」(認識目標),質問項目J〜Nを「技能」(運動目標),質問項目O〜Sを「協力」(社会的行動目標)という項目に分けて分析を加えた。

    資料1 形成的授業評価票の質問項目
    @ 深く心に残ることや,感動することがありましたか。
    A 今までできなかったことができるようになりましたか。
    B 「あっわかった」とか「あっそうか」と思ったことがありましたか。
    C 精一杯,全力をつくして運動することができましたか。
    D 楽しかったですか。
    E 自分から進んで学習することができましたか。
    F 自分のめあてに何回も練習できましたか。
    G 友達と協力して仲良く学習できましたか。
    H 友達とお互いに教えたり,助けたりしましたか。


    資料2 診断的・総括的授業評価票の質問項目
    @ 体育では,みんなが楽しく勉強できます。
    A 体育は,明るく温かい感じがします。
    B 体育をすると,体が丈夫になります。
    C 体育では,精一杯運動することができます。
    D 体育で体を動かすと,とても気持ちがいいです。
    E 体育をしている時,どうしたら運動が上手くできるかを考えながら勉強しています。
    F 体育をしている時,上手い子や強いチームをみて,上手くできるやり方を考えることがあります。
    G 体育で運動する時,自分のめあてをもって勉強します。
    H 体育で習った運動を,休み時間や放課後に練習することがあります。
    I 体育では,友達や先生が励ましてくれます。
    J 私は,運動が上手にできる方だと思います。
    K 私は,少し難しい運動でも練習するとできるようになる自信があります。
    L 体育では,自分から進んで運動します。
    M 体育が始まる前は,いつもはりきっています。
    N 体育では,いろいろな運動が上手にできるようになります。
    O 体育では,いたずらや自分勝手なことをしません。
    P 体育では,クラスやグループの約束事を守ります。
    Q 体育では,先生の話をきちんと聞いています。
    R 体育で,ゲームや競争をする時は,ルールを守ります。
    S 体育でゲームや競争をする時,ずるいことや卑怯なことをして勝とうとは思いません。

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