刊行にあたって


 このたび,本研修センターの研究事業のひとつとして特殊教育課が取り組んできた特殊教育に関する研究報告書を刊行することとなりました。
 我が国の特殊教育を取り巻く状況は,近年のノーマライゼーションの理念の浸透など,社会状況の変化の中で大きく変わってきており,障害の重度・重複化,多様化に応じた指導の在り方が大きな課題となっております。
 平成13年1月の「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」による最終報告の中でも,今後の特殊教育の基本的な在り方として,「障害のある児童生徒等の視点に立って一人一人のニーズを把握し,必要な支援を行うという考えに基づいて対応を図る必要がある。」と,個に応じた指導を一層充実していくことの必要性が強調されています。
 さらに,新学習指導要領において指導計画の作成に当たって配慮すべき事項として,個に応じた指導の一層の充実を図るために,従前の指導方法の工夫改善に加え,教師の協力的な指導など指導体制の工夫改善についても新たに示されました。
 そこで,本研究はこのような経緯を踏まえて,今年度「特殊教育諸学校におけるティーム・ティーチングの在り方に関する研究」を進めてきました。本報告書は,これまで特殊教育諸学校で行われてきた複数教師による協力的な指導実践の成果を整理,分析し,個を生かす支援としてのティーム・ティーチングとしてまとめたものです。この研究成果が,各学校における個に応じた指導の一層の改善・充実に役立てば幸いです。
 最後に,本研究を進めるにあたり,貴重な御助言をいただきました千葉大学の太田俊己教授をはじめ,実態調査に御協力いただきました関係学校及び研究協力員の方々に心より感謝申し上げ研究報告書刊行のあいさつといたします。

 平成13年3月
茨城県教育研修センター所長  山 内 洋 行


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