第4 単元構想から実践・評価・改善へ
  ―評価の在り方と改善への視点をどう導き出すか―
 
 「単元構想案」のねらい
  図  「総合的な学習の時間」の単元目標を踏まえ,児童生徒の学びの姿をどうとらえていくかという評価,それを踏まえて指導の改善への視点をどう導き出すかを単元構想をとらえ直すポイントと押さえ「総合的な学習の時間」の単元構想の在り方について見直しを図ってきた。
 「総合的な学習の時間」を通して,児童生徒の学びの姿をどうとらえていくか,また活動途中でどんな見通しの修正が行われ学習が進んできたのか,単元の活動構想や評価の在り方,支援の在り方は適切だったかなど,指導の改善に向けた単元の評価も行われなくてはならない。こうした一つ一つの評価が行われ,次の活動や次年度に残せる「単元構想案」となる。
 評価についても,従来は教師サイドの評価という面が強かったが,「自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考える」等を「ねらい」とする総合的な学習では,まさに評価が児童生徒の次の学習への意欲につながり,学びを強め,深めるものにならなくてはならない。この意味で,児童生徒が自らの学びを振り返ることのできる自己評価の力をつけていくことは,総合的な学習に求められている重要な評価の在り方である。そこで,こうした評価活動をどのように進めるかについて,単元構想の中でその位置づけを明らかにしておきたいと考えた。
 なお,「単元構想案」は,下の図に示したようにA・B・Cの3つの枠から構成した。
図
 
 「単元構想案」ができるまで
   「単元構想案」は,前ページで示したようにA・B・Cの3つのブロックから構成し,基本的にAから(左から)順に次の3つのことを踏まえながら作成される。
 以下,作成の手順について説明したい。
  (1)  単元構想にあたって押さえておきたいこと
    図  第一に,「児童・生徒,学校・地域の実態」「育てたい児童・生徒像」「学習環境づくり,家庭・地域との連携」は具体的な単元構想あたって押さえておきたいこととして示したものである。
 「総合的な学習の時間」のねらいを踏まえ「児童・生徒,学校・地域の実態」を押さえることから,自校における「育てたい児童・生徒像」が設定される。また,「単元構想案」の前提として,学校の教育目標と「総合的な学習の時間」のねらいとの関連を押さえ,学校として,総合的な学習をどのような力を育てていくための時間とするといった全体計画が作成されていることがより実際的である。「学習環境づくり,家庭・地域との連携」については,活動構想との関連を踏まえて記述していくことも考えられる。
  (2)  単元構想の内容
    図  第二に,「単元構想の視点」「学習の素材等」「評価の観点」「評価の方法」「単元名」「目標」育てたい力」「活動構想」「活動への支援」「学習過程における評価(評価規準)」について,各項目にしたがって構想を立てる。
 どの項目から記述するという順番はないが,おおむね「単元構想の視点」「目標」「活動構想」「評価の観点」から構想されていくことになろう。例えば,この単元の「目標」を踏まえて「評価の観点」が設定されたり,「活動構想」や「育てたい力」から各学習段階に沿った「評価の観点」を明らかにすることができる。また,「育てたい力」を見ていく際には,「学習過程における評価」(「評価規準」)の設定をしておくことが必要となる。
 単元構想の核となる「活動構想」は,「目標」「育てたい力」「活動への支援」や「学習過程における評価」(評価規準)を踏まえ活動が展開されるという構造になっている。これによって,活動構想の各学習段階に沿って,育てたい力,活動を見ていく評価の規準,児童生徒の自己評価活動への支援が押さえられ,「活動構想」に沿った評価や支援の在り方が具体的に示されることになる。
 むろん,「活動構想」は学習の進み具合によって,修正が行われていくこともある。
 なお,評価規準については,学年の単元構想ができてくれば,それを踏まえて各学年の「育てたい児童・生徒像」「活動構想」をもとにして「評価の観点」と「評価規準」ができてくるので,これを持ち寄って学校としての「評価規準表」の作成ができる。
  (3)  単元の評価から改善への視点を導き出す
    図  第三に,学習を振り返っての「成果と課題」「改善への視点」について記述する。学習終了後に,単元の構成,単元の「目標」等を踏まえ,児童生徒の学びの姿を見ての成果と課題等単元の評価について,また「改善への視点」については,評価や支援の在り方等について,具体的な改善点について記述していく。
 次に,実際の活動で修正されたこと,改善すべきことについて,構想案の各項目の内容について加除・修正をしておくことが必要となる。
 児童生徒の学びをどう成立させていくか,そして単元としての評価がなされ,指導の改善のための視点を具体的に導き出し,次の学習や次年度に生かされていく。こうした手順をきちんと踏んでいくことが,教科書のない学習である「総合的な学習の時間」のよりよい「単元」を創ることにもなる。
 
   以上,A・B・Cの3つの枠組みで示した「単元構想案」は(詳しくは次ページの「単元構想案」を参照),AからCへ,つまり左から右へと記述されていくが,学習終了後または学年末に実際の学びの履歴を踏まえ新たに修正されて,毎年更新されていくことになる。各学校において単元構想を立てるときには,この枠組みをそのまま活用するというよりも,構想を立てる上でAからCで示した各項目を参考にして,各学校独自の「単元構想案」が作成されることを期待したい。
 この「単元構想案」のもう一つのねらいは,「総合的な学習の時間」が,児童生徒の学びの姿をどのようにとらえていくかという評価の在り方と関連づけて考えられるようにすること,さらに次の学習や次年度に発展的に生かされるよう改善への視点を導くようにすることである。したがって,「単元構想から実践,評価,改善へ」という構想のもとに,これからの「総合的な学習の時間」を構想していくことが必要との考えから作成したものである。
 以上の基本的な考え方のもとに,次ページのような「総合的な学習の時間」単元構想案の枠組みをつくった。これを活用して学習を振り返って整理していくことで(学習過程に沿って随時メモをしておくとよい),次年度へ発展させていく資料となる。各学校の今後の取り組みに対する提案としたい。
 

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