(8)  数学科(中学校2年)での実践
   教師と生徒,生徒相互の人間関係を生かした,協力的な学習の在り方
学習計画
@  単元  連立方程式
A  単元について
   本単元は,2元1次方程式やこれらを連立させた方程式を解くことの意味を知り,解法を理解し習熟するとともに,それらを実際的な問題の解決に応用することができるようになることである。
B  児童の実態(男子18人,女子16人,合計34人)
  生徒は学習に取り組む態度は非常にまじめである。しかし,学習態度が受け身の生徒が多く意欲的な学習態度とは言えない。また,お互いに協力して学習を進めたり高め合って学習しようとする姿勢が薄いように感じる。
C  学習形態
  ・グループ学習(教え合い学習)
 図
 教師のサポートを受けながら問題作り,解答,考え方の説明,相互評価等をすることを通して,お互いに援助し合う学習をする。
 
結果と考察
@  生徒の反応
   授業はグループ学習の形態をとり,メンバーを好きな人同士で結成し,問題作成,ヒントカード作り,解答作り等お互いに役割分担をし助け合いを重視した授業を行った。好きな人同士ということで授業が横道に反れていくのではないかという懸念はあったが,かえってお互いの親密さが心理的安定をもたらしたようである。一方,教え合い学習については,クラスの雰囲気が良好なため,自己を開示し抵抗なく友達に質問する場面が見られた。教える方にしても,自分たちの作ったヒントカードを基に親切にアドバイスし,お互いの人間関係をさらに良いもにした。また,相互評価の場面については,友達から自分の解いた問題に丸を付けてもらえ,コメントを書いてもらえることで励みになったと考えられる。
A  考察と課題―4種類のサポートの視点から―
  情緒的サポートから
     授業の中で,声を掛ける,励ます,慰める,静かに見守るなどの情緒的なサポートを心掛けて行った。その結果,生徒は学習活動に取り組む姿勢が意欲的・積極的になった。これは,「先生が自分を大切にしてくれている」「分かってくれている」と感じ授業に安心感を持てたのではないかと考える。
  情報的サポートから
     何度も同じつまずきを繰り返している生徒,学習が不十分な生徒,助言を求めてくる生徒に対して,必要とする情報(ヒントを出す,繰り返し説明する等)を提供した。生徒への必要な情報を説明,助言等をすることを通して,生徒は自分自身の 学びの在り方や思考過程を自覚することができたのではないかと考える。生徒の知 りたい情報をきちんと把握し,必要に応じて提供することが学習意欲を高められた と考えられる。
  評価的サポートから
   
  道具的サポートから
     生徒が作成したヒントカードは協力し合いながら学習していく上で以外に有効であった。問題の解き方が生徒のレベルで作成されており,説明の材料として有効であった。また,学習形態をグループ学習としたことで,お互いの人間関係を高めることができた。
B  今後の課題
   生徒相互の人間関係及び教師と生徒の人間関係と学習意欲との関係について,また,4種類のサポート(情緒的サポート,情報的サポート,評価的サポート,道具的サポート)が,生徒の学習意欲にいかに効果的であるか統計的分析をする必要がある。
 
本時の学習
@  目標
   連立方程式を使っていろいろな実際的な問題を解決するための考え方とその手順を理解し,問題(生徒作成)を解くことができる。
   お互いに援助し合いながら学習を進めることによって,人間関係を深め学習意欲を高めることができる。
A  準備・資料
   学習の流れ図  生徒作成問題  ヒントカード  解答
B  展開
  展開
   
資料
資料


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