(6)  社会科「地理的分野」(第1学年)での実践
   ディベートを通して,自己開示を啓発し他者理解を深める授業
学習計画
@  題材  さまざまな地域(アメリカ合衆国)
A  題材について
   多民族国家の代表といえるアメリカ合衆国の開発の歴史,産業の特色,人々の生活や文化,貿易などについて調べたり話し合ったりする活動を通して,今日のアメリカ合衆国の姿を理解させるとともに,世界に及ぼす影響力,日本とのつながりや問題点などをとらえることができる。
B  児童の実態(男子18人 女子19人 計37人)
   学習に対して受け身の生徒が多いが,与えられた課題に対しては真面目に取り組むことができる。世界の諸地域の様子については,マスメディアを通じて理解しているが,断片的な事実に関する知識となっていることが多い。
C  学習形態
   本単元学習の発展として,適切なテーマを設定して,ディベートを取り入れた学習を展開する。設定したテーマについての生徒の考えを基に,「肯定側」「否定側」「判定者」「進行係」の4グループに分け,グループ内での資料(情報)の収集や分析,立論や反対尋問,最終弁論という討論の過程等を通して,自己開示活動を行わせ,生徒相互の理解を深めさせる。
 
結果と考察
@  結果
  生徒は,勝ち負けを決めるゲームということもあって,意欲的に学習に取り組んでいた。振り返りアンケートによると,「友達に親しみを感じた」が75%(「はい」と「まあまあ」の合計),「自分の感情にとらわれず友達の意見を尊重できた」が81%,「意欲的に取り組めた」が88%という結果であった。また,「たくさんの意見が述べられた」「相手に勝つために友達と協力できた」「相手側の言い分も正しいと思うことがあった」「こういう授業は楽しくてわかりやすい」「またやってみたい」などという授業後の感想が多数寄せられた。
A  考察と課題―4種類のサポートの視点から―
   資料収集や分析の段階で,「生徒が必要としている情報の提供」(情報的サポート)を行ったり,討論の過程における話し合い活動で,「自由な意見交換ができるような雰囲気作りや励まし,賞讃」(情緒的サポート,評価的サポート)を行ったりした結果,積極的な意見交換がなされ,生徒相互の自己開示が促進されたと考えられる。また,生徒は,相手を論破するために,「まず相手側の主張を受け止め,論理的に相手側や審判団を説得する」という体験を通して,多様なものの見方や考え方に触れ,他者理解を深めていったと考えられる。
 今後は,生徒との共感的なかかわりをさらに深めるとともに,適切で効果的な支援の在り方を研究開発していきたい。
 
本時の学習
@  目標
   「日本はもっと農産物の輸入自由化を行うべきである」というテーマに基づき,それぞれの立場で積極的に討論し,貿易摩擦の問題について多面的な見方や考え方をすることができる。
   グループ内でのリサーチ活動や討論の過程における自己開示活動を通して,生徒相互の理解を深めることができる。
A  準備・資料
   収集した資料,ディベート評価表,判定カード,「振り返りアンケート」
B  展開
展開
   
資料1「ディベート判定表」
資料1「ディベート判定表」
 
資料2「振り返りアンケート」
資料2「振り返りアンケート」


[目次へ]