(3)  算数科(小学校3年)での実践
   教師と児童,児童相互の信頼感を高め,積極的な学習を進めるTTの在り方
学習計画
@  単元  時こくと時間
A  単元について
   児童は,時計の読み方や午前と午後の区別,日・時・分,という単位やその関係について学習し,時刻や時間の求め方も,前学年でごく簡単な場合を扱っている。そこで,時刻や時間を計算で求めることができるようにすることや,短い時間の「秒」について知らせ,時間の単位の学習を完了させることをねらいとしている。
B  児童の実態(男子13人 女子13人 計26人)
   学級の児童は,明るく活発な児童が多く,普段の生活でも友達と協力して楽しく生活したいという雰囲気が見られる。学習に対しては,勉強を楽しいと感じているが,学習の仕方には,一斉指導や画一的な学級での学習より複数の教員による指導やグループでの学習,学級の枠を超えた集団での学習など多様な学習指導方法を望んでいる。
C  学習形態
   T・Tは,様々な側面において特性を有する教師が互いに協力・分担して授業を運営したり,学校・学級経営に取り組んで,教育効果を高めようとする試みである。
 そこで,児童の興味・関心を考慮し,児童の願いや思いを生かす学習を推進するために,教員の特性や専門性を生かすことができ,個人差に応じた学習の支援を進めることができるT・Tは効果的であると考え,実践した。
 
結果と考察
@  結果
   児童一人一人の特性や興味・関心に応じた学習の場を保証し,児童の願いや思いを生かした活動中心の学習へと転換を図るために体育館で授業を実践したことで,児童は自由な雰囲気の中でのびのびと活動した。また,児童一人一人のよさや頑張りに目が届き,それを伸ばすことができるT・Tの授業実践であったため児童は自分の考えを躊躇することなく発言することができるようになり,これまで発言することが少なかった児童も自分の考えを発言するなど意欲的な学習を進めることができた。
A  考察と課題―4種類のサポートの視点から―
  児童は,自分の願いや思いが生かされる学習をするときに最も意欲的になる。そこで,道具的サポートとしてT・Tの学習形態による授業を実践した。二人の教師が児童に指導することができるので一人一人の児童に目が届き,必要に応じて情報を提供することができるため,教師は児童を多面的に理解することができた。また,ここの良さを生かし,児童の実態や思考の傾向をふまえたきめ細かな個に応じた指導ができるようになった。さらに,児童の意欲・関心を大切にしようと教師は随時に相談して児童のつまずきやつぶやきに目を向け,適切な支援を心がける情報的サポートをしたことで,児童は教師を信頼し,安心して学習に専念することができた。今後は,児童の主体性や創造性を育成するための手立てとして情緒的サポートを中心に授業を実践したい。
 
本時の学習
@  目標
   短い時間の単位「秒」について知り,短い時間を秒を使って表すことができる。
   児童が協力しながら学習に取り組めることができる。
A  準備・資料
   ボール,時計,ストップウォッチ,模型時計,練習問題
B  展開
  展開
   
  児童の学習の様子
児童の学習の様子
TTの授業の様子
児童の学習の様子
   
  資料1 児童の感想
資料1 児童の感想
  資料2 TT実施に関する感想
本校で、「教師と児童、児童相互の信頼感を高め、積極的な学習を進めるティームティーチングの在り方」を進めた感想
主題について
はじめて算数を学習する1年生にとっては、自分の考えが持てるということは課題を解決していこうするうえで、「やる気」「自信」にもつながることであり、必要なことであると思われる。
子ども一人一人に「楽しかった」「できた」「やってよかった」という喜びや満足感、成就感を味わわせてやることが大切である。
授業を中心に、教育相談の在り方進めたため子供たちが楽しく学習に取り組む姿勢が見られるようになってきたのでとてもよかった。
1単元1時間なりをどう展開していくか、直接児童にかかわる授業内容が充実したものになるのが一番よかったと思う。そのために、担任の先生方の負担が多かったのではないかと思うが……。
質に応じた指導の手立てがしっかりとなされ、子供1人1人が算数の学習の学び方を十分に身に付けることができたように思う。特に、子供ひとりひとりが意欲的に瞳を輝かせる姿を見ることができてとてもよかった。
研究の取り組みについて
積極的な学習を進めるために授業研究を行うことで、「教師が変わる」というか自分自身も少し変わって、子供のことを考えながら学習を進める子とができるようになったと思う。準備や教材研究など、その単元重視となってしまうところもあるが、授業研究から他の先生がたの授業を参考にすることもできた。
先生方からさまざまな工夫や考えを聞くことができてとてもよかった。
授業研究を進めることで、誰もが自信を付けていったように思える。その日のうちに反省会を行うことで、子供達への配慮について意見を聞くことができた。
子供達が友達の意見を聞きあいながら、理解を深めていくことができるようになった。また、操作活動や体験活動を取り入れたことで、子供たちの自主性を引き出すことができたように思われた。
研究の成果について
子供のやる気が出るように課題やその提示の方法・子供たちへの配慮の仕方などを工夫することで、子供達は学習に意欲的になった。また、操作方法などの体験を多く取り入れたことで、学ぶ楽しさを味わうことができたように思われる。
TTを行うことにより、一人一人の意見をより多く取り上げることができ、子供も大変意欲的になり、表現力もついてきた。
すぐに先生に見てもらえる、ヒントをもらえるなどTTのよさを十分に生かせる気がする。
子供たちの色々な考え方があることが分かり、それを多く取り上げてあげたいと思えるようになったことは自分にとってとても成果のあることだった。
子供の変容については、教育相談的な配慮をした授業を進めたため、子供たちが算数に対して積極的に取り組めるようになってきた。特に、答えを出す過程において、すぐに答えを出そうとするのではなく、その方法を楽しみながら出そうとしていた。また、自ら問題を作ろうとする態度も自然と見られるようになってきた。
受身的な学習の姿勢が特に大きく変容してきた。いつでも相談でき、話し合える先生や友達がいるから安心して自ら取り組もうという姿勢が見られるようになってきた。特に、これまであまり発表しなかった子供中にそのような態度が見られるようになってきた。
子供が算数を楽しみ、授業時間意外も夢中になって友達と問題を解いている姿が見られるようになってきた。
教育相談的な配慮をした取り組みであったため子供たちの関係が大変よくなってきた。休み時間に男女を交えて遊ぶ姿や話し合いの時に、自分の意見を主張するだけでなく、他の人の意見を聞くような態度が見られるようになってきた。


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