研究の成果
   本研究は,生徒の学習意欲の喚起と創意工夫する態度の育成を図る学習指導の在り方を探るため,教師と生徒に対して,専門教科の学習に対するアンケートを実施しその実態を把握した。その結果をもとに,生徒の学習に対する意欲の向上やものごとを多面的に捉え,創意工夫する態度を育成するための手だてを講じ,農業科・工業科・商業科の各教科において授業研究を実施した。その結果,次のことが明らかになった。
  (1)  農業では,生徒一人一人のアイデアを積極的に取り入れたことにより,生徒からの発問が増え,主体的に学習に取り組む姿勢が育まれた。
  (2)  工業では,身近な素材を教材として取り上げ,生徒一人一人を生かせる少人数での学習形態を取り入れたことにより,意欲的に課題を解決しようとする態度が育った。
  (3)  商業では,身近な資料を題材とした授業展開を通して,自主的に学習に取り組む姿勢が培われ,生徒の発想の広がりと創意工夫する態度が育てられた。
 
お わ り に
 本年度は,生徒一人一人のよさを学習の各場面で生かし,生徒が創造的に思考する仕方を学べるように学習の展開を工夫し,生徒の新たな発想を生かすことにより,創意工夫する態度をより一層高める学習指導の在り方を究明してきた。その結果,教師が実用的な素材を教材として取り上げたり,生徒一人一人のアイデアを生かしたり,少人数による学習形態を取り入れるなど生徒が思考しやすい教材や場を工夫したことにより,生徒は自らの課題を解決するための見通しが立てられ,新たな発想のもと創意工夫する態度が芽生えてきたように思われる。教師は,生徒のよさを引き出すため,常に新たな発想のもと指導法の工夫・改善を図ることが大切であり,それにより生徒の豊かな感性や創造性の基礎が培われてくることが明らかになった。

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