研究の成果
   英語科では,「自ら表現する力を育てる書くことの指導の在り方」という研究主題のもとに,2か年にわたり,創造性に関する意識・実態調査及び授業研究を行った。
 中学校の授業研究においては,「読むこと」,「聞くこと」の活動から,「書くこと」の活動に無理なく発展するように工夫した。文通というコミュニケーション活動場面を設定し,ブレイン・ストーミングを行ったり,書いたものを相互に読み合うなど,手紙を書く過程を重視し,段階を踏んだ,小グループによる手紙作成を行った。英文の正確さよりも内容の豊かさを大切にし,手紙作成過程でALTから助言をしてもらうことにより,生徒は意欲的に「書くこと」のコミュニケーション活動に取り組むことができた。高等学校の授業研究では,「読むこと」と「書くこと」を関連付け,リーディングの授業に,小グループでの電子メールによるコミュニケーション活動を取り入れた。生徒は電子メールを送る相手を自ら選び,読み手を意識し,推敲しながら読みやすい英文を作成することができた。これにより,生徒は一層興味を持って「読むこと」の活動に取り組み,教科書の内容の理解を深めることができた。さらに,相手から送られてきた返事の電子メールの内容の検討を通して,自分が書いた英文の評価ができることが分かった。生徒が個性を生かし,主体的に「書くこと」の表現活動に取り組むような学習展開により,生徒の創造性の伸長が図られたと考える。
 本研究の結果明らかになったことは以下のとおりである。
   「書くこと」の指導にあたっては,他の領域の指導と有機的な関連を持たせることにより,生徒は段階的に無理なく「書くこと」の活動に取り組めることが分かった。
   書いた文章を読んでもらう相手や,「書くこと」の目的が明確なコミュニケーション活動場面を設定することにより,生徒は授業に積極的に取り組み,読み手を意識し,個性や創造性を生かしながら,自分の思いや考えをまとまりのある文章として表現することができることが分かった。
   学習形態を工夫し,書く過程を重視した授業展開をすることで,生徒は自分たちが書いた文章をお互いに読み合ったりしながら,相手に自分の思いや考えがより適切に伝わるように,英文を工夫して作成することが分かった。
   電子メールによるコミュニケーション活動においては,返事の電子メールの内容を検討することで,書いた英文がコミュニケーションを図る上で十分なものであったのか生徒自身によって判断できることが分かった。
 
お わ り に
 本研究を通して,生徒が自ら主体的に「書くこと」のコミュニケーション活動に取り組む,英語科学習の指導の在り方を見いだすことができた。それは英語教育においてこれまで広く実践されてきた,Present-Practice-Produce(提示−練習−創作)という教師中心の指導の枠組みから,生徒が自ら情報を集め,考え,自分なりに工夫をして情報や自分の考えを表現しようとする,生徒の創造性を生かした,生徒中心の学習活動の枠組みへの大きな転換を示すものと考える。このことにより生徒の実践的コミュニケーション能力の育成がいっそう効果的に図られるものであると信じる。国際社会に生きる日本人として,世界の人々と協調し,国際交流などを積極的に行っていけるような,外国語による実践的コミュニケーション能力の育成を目指し,今回の研究の成果を教育実践の中に生かしていきたいと考える。

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