刊行にあたって

茨城県教育研修センター所長
増田 一也

 このたび、本研修センターの教科教育第一課が、国語、社会・地理歴史・公民、算数・数学、外国語(英語)の各教科において平成8〜9年度に行った「豊かな感性を育てる学習指導」に関する研究を完結し、研究報告書を刊行する運びとなりました。
 さて、周知のように、第15期中央教育審議会の答申を受けて教育課程の基準の改善について審議を行っている教育課程審議会が、昨年11月「教育課程の基準の改善の基本方向について」(中間のまとめ)を公表しました。その中で、これからの学校教育では、中央教育審議会第一次答申でも指摘されているように「自ら考え、判断し行動できる資質や能力の育成」を重視すべくだと述べています。そして、そのためには、「知識を一方的に教え込むことになりがちであった教育から、自ら学び自ら考える教育へ」と学校教育の基調の転換を図ることを強調し、学習指導の在り方も「子どもたちが自分で考えたり自分の言葉で表現したりすることを重視するよう指導方法の工夫改善を一層進めていく必要がある。」と述べています。
 私たちは本研究を進めるに当たって、「感性」とは「事物や事象とのかかわりや子供同士のかかわりを通して、子供自らの感覚や感受性を基に価値あるものを見いだし、思考や判断を繰り返しながら自己をより高め、よりよいものにしていこうとする力」ととらえ、実践を通して、この力を子供たちの中に育む学習指導の在り方を究明してきました。この研究は期せずして上に引用した「中間のまとめ」で述べている「指導方法の工夫改善」の一つの試みになったのではないか、即ち、教科によって授業・学習の手順や組み立て方の違いはありますが、今後の教育観の方向に沿った授業改善に近づいたのではないかと思います。
 本報告書が多くの先生方に読まれて今後の授業実践に活用され、学習指導の一層の工夫改善に役立つことを期待しています。
 おわりに、本研究に当たり、意識・実態調査に御協力いただきました関係学校及び研究協力員の先生に対しまして心から感謝の意を表します。



前のページへ戻る