4 本音で付き合える集団を育てる   中学生向け

協力ゲーム―形になるまで―


ねらい  子どもは学校生活の中で,学級や委員会,クラブ等さまざまな集団に所属し,一定の傾向や特徴を持った行動や役割についている。しかし,このことについてはあまり振り返る機会がない。『協力ゲーム』の演習を体験することにより,集団の中での自分や友達の行動の特徴や集団がどのように動くものであるかに気付き,対人関係のあり方を向上させたい。
時 間 学級活動(50分)
準 備 紙片セット(各班ごとに4セット,色ボール紙等で作成するとよい)
「グループの課題」と「ルール」の書いてある提示用模造紙
作戦メモ用紙  フィードバック表
紙片セット
進め方
@ 生活班ごとに机を合わせて座る。
A 模造紙に提示してある「グループの課題」と「ルール」の説明を聞く。
《提示する模造紙の例》

【グループの課題】
 グループに与えられた紙片全部を使って一つの図形を協力して作る。
 その図形には空地がないこと。周辺にへこみの部分がないこと。

【ルール】
  1. 作戦会議で話し合う時は,自分の作戦メモを見ても,机の上の紙片に触れてもいけない。
  2. 組み立て作業に移れるのは,全員が意見を述べて同意した時である。
  3. 組み立て作業中は話し合ってはいけない。ひとりごともいけない。
  4. 作戦会議を再開するにはグループのメンバー全員に合図して,全員が組み立て作業を中止してからにする。
  5. 作戦会議を開いて話し合える回数は3回とする。
B 各班に配布された4セット分の紙片セットを机上に広げる。
C 各自でこの課題を解くための方法を考え,自分の作戦メモ用紙に書く。
D 作戦会議で話し合ちて自分たちのグループの解き方を決め,組み立て作業に入る。
E 決めた方法でうまくいかない時は,再び作戦会議を開き,合意が得られたら,違った方法で組み立てる。
F 課題が達成できたら,フィードバック表をもらい,各自で記入する。
G ゲーム中での自分や友達の行動の特徴や問題点,さらには集団がどのように動いたか等について,気付いたことを話し合う。
留意事項
  • 組み立て作業中は,机上に筆記用具やノート類を置かないようにさせる。
  • どうしても図形にならない班にはヒントを出すが,開始から15分間はじっくり話合いの時間を取らせる。
  • 話し合いの時に特定の子どもが否定的に見られている場合には,その子どもの気持 ちもよく聞いて話し合うよう,アドバイスする。
【『協力ゲーム』の正解例】

ここにあげたのは正解のごく一部である。いろいろな形ができるので,課題の条件を満たしていたら正解とする。
正解例
子どもの反応
  • グループでの作戦会議の時に,自分の意見や考えを言うことができたか,という問いに対して,66.7%の子どもが「大変よくできた」「よくできた」と答えている。また,他のメンバーの意見や考えを聞くことができたか,という問いに対しては.75.0%の子どもが肯定的に受け止めている。課題解決を通して,対人関係の向上が見られる。
成 果
  • 遊び的要素が強いので,普段目立たないような子どもが思わぬ発見をして集団に認められるなど,温かい人間関係が感じられるようになった。
  • フィードバック表の記録後の感想発表で,集団の中で自分がどのような態度をとっているか,フィードバックを受けることにより,自分を見つめ直すことがでさた。

前のページへ戻る