3 友達のことをたくさん知る   小学校全学年向け

無人島脱出


ねらい  自分の考えも,他者の物の見方や考え方を知る中で深まっていくものである。しかし,子どもたちの中には,友達の話をよく聞き,その考えを理解するのが苦手な児童が多い。
 そこで,人が言おうとしていることをわかろうとするため真剣に聞き,自分の思っていることを遠慮しないで言うためのエクササイズを設定した。人の話を聞きながら,考える中で,友達の考えや存在を受容し,自分の考えを深めるようにさせたい。
時 間 学級活動(45分)(学級で行う場合),
全校ゆとりの時間(縦割り班活動の場合)
準 備 記入用紙
進め方
  1. ウォーミングアップ「瞬間接着剤」
    • 自由に歩き回り,教師から指示された体の部分も次の指示があるまで付けて歩くというルールで行う。
    ※ 3人組,4人組などでも行う。
  2. 6人グループを作る。(縦割り班の場合は,できるだけ縦割りのグループにする。)
  3. 文章を読んで状況と選択肢を知る。

 あれは1年前のことでした。外国に行く船が沈没し,ほとんどの人はたすかりませんでしたが,6人だけが無人島にたどり着きました。
 それから1年。6人は毎日のように日本に帰るためのいかだを作り,やっと完成しました。「これで1か月後には日本に帰れるぞ」と,みんな踊り上がって喜びましたが,しばらくして大きな問題に気付きました。
 水は飲めますが,食料を積むと5人しか乗れません。水と食料と6人全員が乗れる大きないかだを作りなおすのには,1年以上かかります。しかも,1人は重い病気にかかって動けません。どうしたら良いのでしょうか。
病気の人と看病する人の2人が島に残り,4人が食料と水を積んだいかだに乗る。
くじ引きで1人が島に残り,病気の人も入れて5人が食料と水を積んだいかだに乗る。
食料は積まず,6人全員が水だけ積んだいかだに乗る。
大きないかだを作り直すまで6人全員が島に残る。


  1. 自分の順位とその理由を表に書く。
  2. 話し合いグループの順位を決める。
  3. 振り返り表に記入する。
  4. 今日の演習について感想を発表させ合う。
留意事項
  • ウォーミングアップのゲームは,楽しい雰囲気の中で,悪ふざけにならないようにしたい。
  • 縦割り班で行う際は,課題文と選択肢も ふりがなを付けて印刷しておくとともに,高学年の児童に低学年にも分かりやすいように説明をさせながら,話し合いに参加しやすいようにする。
  • 振り返り表の記入と感想発表は,演習のグループで行わせてもよい。
子どもの反応
  • 「いろいろな人の考え方がわかって面白かった。」という感想が多かった。
  • 「自分の考えをみんなが一生懸命聞いてくれてうれしかった。」という感想も数点見られた。
  • 友達との交流が苦手な子も,楽しい雰囲気の中で,他の子が声をかけてくれるのでうれしそうだった。
成 果
  • 「いろいろな人の考え方がわかって面白かった。」という感想が多く,お互いの個性を出し合ったり分かり合う機会が少なかった児童にとって刺激になったようである。
  • 「自分の考えをみんなが一生愚命開いてくれてうれしかった。」という感想もあり,自分を理解してもらった喜びが大きいことがわかった。
  • 友達との交流が苦手な子も,楽しい雰囲気の中で,他の子が声をかけてくれるのでうれしかったようである。

前のページへ戻る