「学習指導に関する研究」の槻要

1 研究の要旨

 新しい学力観のもとに,学ぶ側に立った学習指導(国語,社会,算数・数学,理科、生活,外国語)に関する研究を行い,各学校での学習指導の改善・充実に役立てる。

2 研究主題

(1) 共通研究主題

  学ぼうとする力を育てる学習指導に関する研究

(2)教科別研究主題

国語 ………… 見通しをもって読み解く国語科指導法
社会 ………… 児童生徒自らの生き方に迫る社会科指導の在り方
算数・数学 ………… 数学的な見方や考え方のよさが分かる指導の在り方
理科 ………… 興味・関心が高まる観察・実験の指導の在り方
生活 ………… 活動する喜びをあじわい,自ら問いかけ,解決していく力を育てる生活科指導の在り方
外国語(英語) ………… 学ぶ側に立った段階的なリスニングの指導法

3 研究期間

 平成4年度から平成5年度の2か年

4 研究方法及び研究の経過

  1. 研究協力員を委嘱し,研究協議会を開いて基礎研究(理論研究,調査研究)及び授業研究を行った。
  2. 平成4年度は,研究主題にかかわる理論研究及び学習指導の実態と問題点を探るための調査研究を行った。調査対象は,国語,社会,算数・数学,理科、外国語は中学校の教員及び生徒,生活は小学校の教員である。
  3. 平成5年度は,教科別研究主題に基づいて,校種(小学校,中学校,高等学校)ごとに授業研究を行い,2か年の研究のまとめをした。

5 研究主席についての基本的な考え方

(1)学習指導要領のもとでの学力観=「新しい学力観」

これからの教育においては,児童生徒の一人一人が,心豊かに,主体的,創造的に生きていくことができる資質や能力を学力の基本とする学力観に立って学習指導を展開する必要がある。

学力は,次の三つの要素から構成されるととらえた。
{ 学ぼうとする力 …… 対象への興味・関心・意欲・自己実現の態度
学力 学ぶ力 …… 学び方・調べ方・考え方,判断の仕方・表現の仕方
学んだ力 …… 知識・理解,技能、学んだ自信

 ともすると従来は,知育偏重の風潮の中で,最も見えやすく,ペーパーテスト等で評価しやすい知識や理解の面だけを,学ぼうとする力や学ぶ力から切り離して学力としてとらえる傾向があった。しかし,現在求められている知識は,児童生徒の興味・関心や意欲に基づいて獲得された知識,体験に裏付けされた知識,深い思考力や判断力に裏付けされた知識であり,新たな学習や生活の中でも生きて働く知識である。

 学ぼうとする力が学ぶ力を高め,学ぶ力が学んだ力を高め,さらに学んだ力が学ぼうとする力を高めるというように,これら三つの要素は,切り離された別個のものではなく,相互に影響し合うものである。学んだ力は学ぼうとする力や学ぶ力に裏付けられたものでなければならず,また,学ぶ中で学ほうとする力や学ぷ力が育っていくことが重要である。学力をこのようにとらえることによって,学習の中で,心豊かにたくましく生きる人間を育てることができる。

 本研究では,学力を構成する三つの要素の中で,学ぼうとする力の育成に焦点を当てた。この研究は,学ぶ力を育成する研究,さらには,学んだ力を生かし働かせる研究へつながる方向性をもつものである。

(2)学ぼうとする力=豊かな自己実現への意志力

学ぼうとする力は,豊かな自己実現への意志力であり,次のようにとらえた。

児童生徒が,自分がかかわってきた経験等から獲得した様々な資質や能力を発揮して,
人間,自然,社会,文化などの対象や事象に主体的にかかわろうとする意志力

(3)学ぼうとする力を育てる学習指導の展開

 学ぼうとする力を育てるためには,豊かな自己実現を支援する立場に立って,児童生徒が学ぶ喜びを味わえるように学習指導を展開する必要がある。

 本研究では,次のような手だてについて授業研究を行った。

6 本研究報告書の内容

  1. 論文 「新しい学力観に基づく授業の創造−授業・学習過程の構築−」
    茨城県教育研修センター所長 高久 清吉
    (平成5年度「学習指導に関する研究」第1回研究協議会での講義内容に加筆したもの)
  2. 国語,社会,算数・数学,理科,生活,外国語の教科別研究主題に基づく研究の報告

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