事例一覧に戻る 高等学校2年数学 単元:三角関数フリーウェアを利用して学習意欲高める実践
 〜「GRAPES」を活用し,関数の性質を視覚的に捉らえる学習〜
土浦第三高等学校
高野 健二


  1. 「GRAPES」を用いたグラフ学習
    今回は,よく利用される,単位円を用いた三角関数のグラフ学習ではなく,角度をπ/12ごとに三角比の値の表を利用して点をとるという作業に時間がかかる手法で行った。この意図は,グラフが点の集まりであることを意識させるためと,関数の値を計算するためにそこまでで学習した関連事項が定着しているかを確認するためである。
  2. 指導目標と評価
ねらい  学習活動 機器・教具 指導上の留意点
  • 導入
    前回の復習(10分)
  • コンピュータを起動する。
  • GRAPESを起動する。
  • 関数の入力する。
  • LAN
  • GRAPES
  • 簡単に入力画面の説明し,関数の入力の仕方を確認する。
  • 媒介変数aの働きを理解する。(10分)
y=a・sin b(θ−c) のグラフについて考察する。変数a,b,cの値を変化させたときに,グラフがどのように変化するかを調べる。
  • 【作業1@】関数の入力をする。y=a・sin b(θ−c)のグラフを描く関数を入力する。
  • 【作業1A】b=1,c=0とし,aの値のみを変化させたグラフをコンピュータで描く。(図1)
  • 【作業1B】a=1以外の数値を代入したときのグラフをワークシートに書き写す。
  • 【作業1C】a=1の時を基準にして,変化の様子で気がついたことをワークシートにまとめ,発表する。
  • 媒介変数を含む関数の入力方法をきちんと説明する。
  • x軸の目盛りを弧度法で表示するように指示する。
  • 生徒にy=sinθのグラフを描いたワークシート事前に配布して,そこに変化したグラフを書き込ませる。
  • 媒介変数b,cの働きを理解する。(20分)
  • 【作業2@】a=1として,b,cの値を変化させたグラフをコンピュータで描く。(図2)
  • 【作業2A】b,cに様々な数値を代入したときのグラフをワークシートに書き写す。
  • 【作業2B】b,cの働きについて気がついたところをまとめる。
  • 【作業2C】y=sinθのグラフをどのように変化させたものであるかを発表させ,議論する。
  • 【作業2D】発表の検証をするために各自例題として提示された式のグラフをコンピュータで描く。
  • GRAPESで描いたグラフをワークシートに書き写す。
  • 本時のまとめをする。(10分)
  • GRAPESを利用すると,簡単にいろいろな数値を代入したグラフを描くことができ,視覚的に問題を捉えることができる。またコンピュータを問題解決のための道具として利用することができることを理解する。
  • 授業評価のワークシート(一太郎データ)に必要事項や感想を記入して,フォルダに保存する。
  • コンピュータを道具として利用することの有用性を理解させる。
図1 aを変化させたグラフ 図2 bを変化させたグラフ

  1. 「GRAPES」を利用してグラフを描くと,媒介変数の値をひとつひとつ入力し直さなくても,マウスでボタンを押すたびに変化させたグラフが描かれるので(変化の幅は自由に設定可能),容易に媒介変数の働きを考察することができた。
  2. 元のグラフ(初期設定の状態)は勿論のこと,変数の値を変えていくたびにそのグラフの残像を残しておける機能があるので,生徒たちは関数の様子を視覚的に捉えることができた。媒介変数の役割をまとめる時など上下の伸縮,左右の伸縮,平行移動ということを自分なりに自分の言葉で表現していたことからみるとほぼ全員の生徒が興味関心を強く持って授業に参加したといえる。
  3. 今回の実践を通して,パソコンを使うことで,生徒の興味関心を高めることができ,大いに学習効果を上げることができることを確認したので,今後もパソコンを学習内容に合わせて,適所に取り入れていきたい。