事例一覧に戻る | 高等学校1・2年 国語 | 単 元:読書の輪を広げよう−本の紹介文を書く (校内LANを利用して学習意欲を高める) |
紹介文の書き方についてワークシートをもとに教室で1時間の事前指導を行い,次の授業までに考えておくように伝えた。アンケートの回答及び紹介文の作成はパソコン教室で行い,計2時間で授業を展開した。
1 読書に関するアンケート(AutoASPを活用) | |
(1) 目的 読書意識や傾向を把握するために,AutoASPを活用したアンケートを行う。 AutoASPの機能により,データを集計・集約する際の負担を軽減する。 (2) 質問内容 読書に対する意識,読書時間,本の入手方法,「朝の読書」への取り組み状況,好きな本の書名,著作者,本の紹介文など16項目である。 (3) 授業の準備 校内サーバ上にアンケートフォームと保存用フォルダを作成した。 アンケートフォームはAutoASPの自動作成プログラムにより,HTMLやASPの知識がなくても容易に作成することが可能である。アンケート項目を入力するだけで 良く,10分程度で作成することができた。 (4) 授業展開 コンピュータ教室において,各自アンケートフォームを開き,画面上で回答を選択,もしくは自由に記述していく。回答が終わり次第,送信ボタンをクリックすれば,サーバに回答結果が集約され,集計も自動的に行われる。 (5) 授業の実際 コンピュータの操作については,小・中学校の授業や高校の専門科目の授業で学習済みであるため,大部分の生徒が教師の指示通りに行うことができた。キーボードの操作が不慣れな生徒に対しては,同級生が使い方を教える姿も見られた。まれに,アンケートが終了する前に送信ボタンをクリックしてしまうなどのトラブルもあったが,TT方式で授業を行っていたため,そのような事態にもスムーズに対応することができた。 (6) 留意点 AutoASPはWebサーバを活用したシステムであり,生徒氏名やアンケート結果などの情報を保護するために,外部との接続を遮断しなければならなかった。対策として回答集約用のサーバを用意し,アンケートを実施する際にはインターネットの接続を切断するようにした。そのため,本の紹介文を作成する際にインターネットを参照することができないといった不都合も生じた。 |
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2 ブックガイド(本の紹介文)作成 | |
(1) 目的 パソコンを使うことで,紹介文を書こうとする意欲を高める。 サーバに保存したブックガイドをもとに本の情報や感想の交流を行い,読書意欲を高める。 (2) 授業の準備 アンケートフォームに,紹介する本のタイトル,著作者,紹介文(80字程度)を記入できるようにした。内容は主人公やあらすじの紹介,簡単な感想などで,具体的な書き方については事前にワークシートを用いた指導を行った。紹介する本はマンガや雑誌以外であれば,基本的に自由とし,他の人がその本を読みたくなるような紹介文にするために,自分の言葉で書くことを心がけさせた。 (3) 授業の実際 事前に書いてきた紹介文を早速パソコンに入力する者,その場で考えながら入力する者,持参した本を開きながら画面と向き合う者など,それぞれが主体的に取り組もうとする姿勢が見られた。 本校生の中には,漢字がわからない,文章を書き直すのが面倒である,という理由で書くことに強い抵抗感をもつ生徒が多い。しかし,原稿用紙に向かう授業に比べ,格段に取り組みが良かったと感じた。普段は書くことを途中で投げ出してしまう生徒も,紹介文を完成させるために本やパソコン画面と向き合っており,主体的に考え,書こうとする姿勢を見ることができた。 (4) パソコンを用いた文章作成 キーボードによる文章入力について,「キーボードよりも鉛筆の方が早く書けるので良い」という生徒も一部いたが,大多数の生徒は「わからない漢字をでも使うことができる」,「消したり書いたりする必要がなく,文章を直すのが簡単」という感想をもっていた。生徒は小・中学校でパソコンを使った授業を受けてきており,また日常的に携帯電話を使うため,キーボードの操作に対する抵抗は少ないと思われる。今回の実践を通し,筆記用具としてのパソコンの役割や効用を改めて認識させられた。 (5) ブックガイドの作成と活用 アンケートフォームに入力した紹介文はサーバに集約される。このデータをもとにクラスや学年の枠を超えたブックガイドを作成し,校内サーバに保存した。本を探す時には,いつでもどこからでもこのデータにアクセスすることで,著作者名やタイトルの検索,紹介文の閲覧が行える。「何を読んでいいのかわからない」「面白い本が見つからない」という生徒にとって,有益な情報源となる。読書に興味を持つことができない生徒にとっても,他の生徒が書いた紹介文を目にすることで,興味を持ち,本を手に取るきっかけの一つにできるのではないかと考える。 また,同年代の生徒が読んだ本を自分は何を感じながら読むのか。ブックガイドに紹介された本を読んで読中・読後の感想を話し合い,さらに本の情報を交換し合う。そのように意欲的に読書活動に取り組むことで,様々な分野の本に興味をもったり,深く読んだりするような波及効果が生まれるとも考えられる。生徒同士の読みの交流が広がる中で,生涯にわたって読書に親しもうとする態度・意欲が高まることが期待できる。 |
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