刊 行 に あ た っ て


 豊かな人間性やたくましく生きるための健康や体力などからなる[生きる力]は,平成8年の中央教育審議会答申(「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について(第一次答申)」)で提唱されました。以来,一貫して[生きる力]を基調とする学校教育へと教育の質的転換が求められ続けています。平成14年4月から新学習指導要領が順次実施され,各学校及び各教育委員会は,そのねらいの実現に向けて創意工夫に満ちた取組を行っておりますが,新学習指導要領のねらいの一層の実現のために,平成15年5月「今後の初等中等教育の推進方策について」の諮問を受けた中央教育審議会は,10月に「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」を答申しました。これを踏まえて,学習指導要領の総則を中心にその一部を改正し,12月26日告示しました。一部改正の内容は,「学習指導要領の基準性を踏まえた指導の一層の充実」,「総合的な学習の時間の一層の充実」,「個に応じた指導の一層の充実」等から成り,すべての児童生徒に対して基礎・基本の確実な定着を図り,学校の裁量による特色ある取組を行うことによって,確かな学力が育成され[生きる力]がはぐくまれるということを旨としています。
 茨城県教育研修センターにおいては,この[生きる力]をキーワードに,「生きる力をはぐくむ学校教育」を主題として,2か年の教育研究を行っております。このたび,平成15年度に完結する三つの研究及び平成16年度に完結する研究の中間まとめの成果を刊行する運びとなりました。
 教職教育課の「学校改善につながる学校評価の在り方」の研究(中間発表),教科教育課は「個に応じた学習指導の工夫改善」として,社会・地理歴史・公民,理科,音楽,家庭及び技術・家庭,体育・保健体育,外国語(英語)6教科の研究,情報教育課の「校内LANを効果的に利用する授業の研究」,教育相談課の「学校生活適応のための指導・援助の在り方」の研究をCD−ROMに収録し,各学校,教育関係機関に配布するとともに,新年度には茨城県教育研修センターのWebページに掲載いたします。これらの研究が各学校の創意工夫や特色ある取組のために広く活用いただければ幸いです。
 最後になりましたが,研究を進めるに当たり,御指導を賜りました講師の先生方,調査・研究等に御協力いただきました関係学校及び研究協力員の先生方に心から感謝の意を表します。

 平成16年3月
茨城県教育研修センター所長  大 金 文 郎


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