【授業研究1】 |
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中学校第2学年 総合的発展的コミュニケーション活動Big Project |
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(1) |
授業の構想 |
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生徒が興味・関心を高め,実践的コミュニケーション能力を育てるためには,まず課題をどのように設定するかが重要となる。本校では総合的発展的コミュニケーション活動であるBig Project を年間指導計画に定期的に位置づけ,生徒の実践的コミュニケーション能力を育てる研究を進めてきた。今回は,New HorizonのUnit 5終了後に,Big Project 2:“Let's Report and Discuss!”を設定し,その内のPart 1: “Let's Report!”を実践した。Unit 5は,駐輪場の不足から起きた市民のケガを契機に,この社会問題を解決するためにそれぞれの立場から意見を出し合ってよりよい道を模索するという内容である。これは,実際に生じる可能性のある問題であり,市民教育の一環として大いに工夫の期待できる教材である。また,自分の考えを理由や根拠と共に伝え合う技能を身に付けることは,平和で豊かな世界を築くためにも大切な課題である。さらに,if,接続詞のthat, 接続詞のwhen, shouldやbecauseなど意見を論理的に述べるために必要な文法・語い表現が取り上げられており, discussionなど創造的な活動を展開することができる。Part1:“Let's Report!”では,起こった事件をWitness(目撃者),Interviewers(インタビューする人), Writers(記事を書く人),Announcer(アナウンサー) が『ニュースを正しく報道しよう』という課題を達成するために学習を展開するものである。一種の伝言ゲームであるが,情報の伝達に必要な5W1Hを意識して友達と助け合いながら何とか英語で情報を伝達しようという活動の場を設定し,チーム同士の競争的な要素を取り入れた。今回は生徒が楽しく活動に取り組めるよう,目撃した物をNessieやU.F.O.にするなど事件の内容も工夫した。また,伝えるべき内容も形容詞や数字などを盛り込み,正しく伝達することの難しさや大切さを体験させることも考慮した。 |
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(2) |
授業の手だて |
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ア |
生徒一人一人の背景知識(スキーマ)を活用したコミュニケーション活動の工夫 |
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Part 1:“Let's Report!”では,『ニュースを正しく報道しよう』という課題を設定した。実践的コミュニケーション能力を育てるために,まずは間違いを恐れずに英語を使うことを常日頃生徒に伝えてきているが,時には互いに誤解が生じないよう伝えるべき内容をできるだけ正確に伝え合うことの大切さにも気付かせる必要があると考える。ニュース報道では正確さが要求されるという生徒の背景知識(スキーマ)を活用し,5W1Hを意識し,形容詞や数字などをどれだけ正確に伝えられるかをチームごとに競い合い,楽しみながら個々の生徒に気付かせることを目指したいと考える。今回設定した事件の内容は,Nessie,Yeti, Doraemon and Dinosaur, Alien, Ghost, U.F.O.であり,Witnessの伝えるべき内容も,“When I went to Chuo park last night,I saw a Yeti there. It was about three meters tall and looked like a big gorilla. I think its color was black. It was playing the cymbals and it was very cute.I was very happy to see it.”など,情報の伝達の際,生徒の背景知識(スキーマ)が活性化されるよう工夫した。Writers は自分のチームのInterviewersに目撃内容をできるだけ正確に伝えることが課題である。Interviewersは各チームペアで,Witnessから情報を聞き出し,Writersに渡すための情報を5W1Hを中心にまとめることが課題となる。さらにWritersはInterviewersから得た情報でニュース用の放送原稿を短時間でまとめることが課題となる。Writers もペアで活動し,互いに分からないところをInterviewersに確認したり,単語や表現を辞書で引いたりする活動を分担する。最後にAnnouncerは自分のチームの原稿をWritersから受け取り,各チームごとに順番にニュースを報道する。Announcerは不完全なものもある原稿を自分で英文に直し,さらにニュースを正しく報道することが課題であるから,日付や数字などを誰にも聞こえるように正確に発音することが要求される。これら一連の活動のまとめとして,ニュースのリスニング活動を全生徒で行い,事件が正しく伝わったかどうか検討していく。 |
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イ |
コミュニケーション活動の形態の工夫 |
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生徒が互いに学び合えるよう, Witness 1人,Interviewers 2人,Writers 2人,そして,Announcer 1人の6人のチームを作った。また,1時間の中でできるだけ多くの時間を生徒の発話に使いたいと考え,個々の生徒を支援するためにもティーム・ティーチングを導入した。さらに,それぞれの役割で活動の特性が異なるため,教科型特別教室(国英教室3・4及びオープンスペース)を十分に活用した。 |
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教室活用図
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ウ |
コミュニケーション能力の評価の工夫 |
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評価は今後の授業へのフィードバックや波及効果を期待できるものである。活動の観察やワークシート,また自己評価カードなどを参考にして評価を行うが,特にOral Testを授業後に実施し,5月に実施したときの結果と比較してコミュニケーション能力を測ることを試みた。Oral Testの実施方法や評価の観点及び採点方法など,信頼性の点で問題は大いにあるが,一つの目安として活用したいと考えている。 |
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(3) |
学習指導案 |
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ア |
題材 |
Unit 5 A Park or a Parking Area? |
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Big Project2 :“Let's Report and Discuss!” |
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イ |
時間配当7時間(本時は第6時) |
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第1次 |
Unit5の内容を理解する。 ………………………… 5時間 |
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第1時 |
ifの意味や用法を理解し, これを用いた身近なことに関するFaxの内容を理解し,自らも表現する。 |
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第2時 |
接続詞thatの意味や用法を理解し,これを用いた身近なことに関する会話を理解し,自らも表現する。 |
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第3時 |
shouldや接続詞のwhenの意味や用法を理解し,これを用いた身近なことに関する記事を理解し,自らも表現する。 |
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第4時 |
becauseの意味や用法を理解し, これを用いた意見文を理解し,自らも表現する。 |
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第5時 |
5W1Hの順を意識して,記事を完成する。ニュースを聞いて要点を聞き取る。 |
第2次 |
Big Project 2:“Let's Report and Discuss” ……… 2時間 |
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第1時 |
Part 1: “Let's Report!” ニュースを正確に報道する。 |
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第2時 |
Part 2: “Let's Discuss!” 意見を交換し,自分の考えを深める。 |
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ウ |
本時の学習 |
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(ア) |
目 標 |
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○ |
5W1Hを意識し,英文を用いて情報を正確に伝達し合うことができる。 |
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(イ) |
展 開 |
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(4) |
授業についての考察 |
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ア |
生徒一人一人の背景知識(スキーマ)を活用したコミュニケーション活動の工夫 |
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生徒からの感想として,「難しかったけど楽しかった。」「英語で聞くのが難しくて日本語を使ってしまった。」「聞き返されると分からなくなって適当に答えたら,全然違う背の高さになった。」「gorillaのようなYetiは変だと思って,逆にYetiのようなgorillaと伝えてしまった。」「アナウンサーが上手だった」「自分は1メートルと伝えたと思ったのにアナウンサーが言ったときは10メートルになっていて驚いた。」などの声を聞くことができた。背景知識(スキーマ)が情報伝達の上で様々な働きをしていることがうかがえた。 |
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イ |
コミュニケーション活動の形態の工夫 |
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学び合えるようペアやチームを組んで学習に取り組ませたことにより,生徒が,積極的に英語で情報の伝達をしようとしている様子がうかがえた。また,役割別に担当する教師が別室で綿密な支援に当たれたので,無駄のないコミュニケーション活動を展開できた。 |
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ウ |
コミュニケーション能力の評価の工夫 |
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評価に当たっては,授業の観察,ワークシート,放送原稿,自己評価カードを参考にした。特にコミュニケーション能力の評価に関しては,Comprehension,Fluency,Accent及びExpressionsを評価観点とし,授業後にOral Testを実施した。授業の観察では生徒はなかなか適切な英語を使えず単語だけや日本語で聞く生徒が多いように感じたが, Oral Testでは,5月に実施した結果よりも,C及びBレベルの生徒にやや向上した様子が見えた。 |
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Oral Testの結果(生徒2人抽出)
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(5) |
まとめ |
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この実践は,生徒の背景知識(スキーマ)を活用した,ニュースを正確に報道するという総合的発展的なコミュニケーション活動であった。手順の説明に時間がかかり過ぎるという課題は残ったものの,生徒は,情報伝達時に注意すべき点を伝える側,受け取る側に立って実感することができた。また,個々の生徒にできるだけ多く英語を発話させることも課題の一つであったが,ティーム・ティーチングと教科特別教室の活用によってこの問題をやや改善することができた。今回の実践を経て,日常ALTに,英語で話すのを楽しみにする生徒も増えた。生徒の,英語に対する興味・関心は向上し,実践的コミュニケーション能力が育ちつつあると考える。 |